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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.73『噂の二人』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1961年 アメリカ映画 ウィリアム・ワイラー監督『噂の二人』
(The Children's Hour)

人生の中で何回も恋してきたが、肯定か否定かは別として、
「恋をしている」という実感があった。
初めて本作を観たとき、
”名付けようのない感情”の哀しさに涙があふれた。

細身で凛としたオードリー・ヘプバーンと、
親しみやすい可愛らしさのシャーリー・マックレーンが、
女子学校を共同経営する親友同士に扮する。
オードリーより実年齢では5歳年下であるシャーリーが素晴らしい。

噂の二人.jpeg 噂の二人②.jpeg 噂の二人③.jpeg

リリアン・ヘルマンの戯曲『子供の時間』を原作とする本作は
大人になってから観たが、
ジェーン・フォンダがリリアンに扮した、
フレッド・ジンネマン作品『ジュリア』(’77)を娘時代に観たとき、
ジュリアに対するリリアンの慕情が”名付けようのない感情”として、
心に刻まれたことを想い出す。

今では「LGBT映画に名作多し!」と、
ラジオ番組でもよく宣伝する美加だけれど、
『噂の二人』の時代はプラトニック・ラヴとすら、
表現できなかったことを改めて考えてしまう。

興味深いドキュメンタリー作品『セルロイド・クローゼット』(’95)のなかで、
シャーリー・マックレーンは、
本作の役柄についての悔恨を語っていたはず。
こちらも観なおしてみたい。  

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