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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.71『裏窓』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1954年 アメリカ映画 アルフレッド・ヒッチコック監督『裏窓』
(Rear Window)
 
ヒッチコック作品は全作を観ているはずだが、
劇場で観た作品はごく少ない。
本作は1980年代、館名は思い出せないが、
新宿の名画座でジェームズ・スチュワート主演特集と銘打たれ、
『知りすぎていた男』『めまい』と三本立てで観た記憶がある。
観客を”覗き見”の共犯者にすることが得意なヒッチコックの作品群のなかでも、最たるもの!
190センチを超える長身のスチュワートが長い脚を伸ばして座ったまま、じれったい演技に終始する。
 
裏窓②.jpeg 裏窓.jpeg 裏窓③.jpeg 裏窓④.jpeg
 
主人公が動けないという状況設定が巧い。
映画史上で初めてではないか。
名前を持つ登場人物も極めて少なく、
動けない主人公とともにカメラは部屋から出ることはない。
舞台劇ならともかく、場面はひとつきり。ヒッチコックは『ロープ』(’48)でも
実験的な手法をとったが、本作はひと味違う。
骨折で療養中の主人公のもとへ日々やってくるのは、
名脇役セルマ・リッター扮する看護師。
そして、何回観なおしても優雅な美しさが圧倒的な
グレース・ケリー扮する恋人。
彼女のファッションを観ているだけでも、十分に楽しめる。
衣裳は数々のオスカーを持つイディス・ヘッド。
 
長身だが、やさしく柔弱なイメージのスチュワートは
”巻き込まれ型主人公”にぴったりはまり、観客は容易に感情移入できる。
皮肉たっぷりなラスト・シーンもゴキゲン!
グレースは本作の二年後に、モナコ王妃となってしまったんだよなあ・・・
 

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