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酔芙蓉をんな同士の客多く 魅歌 [日記・雑感]

近くて遠い町・沼袋の蕎麦処『朝日庵』へ。
当店の細切り冷やしうどんは他ではいただけない品。
もちろん、蕎麦、天婦羅、おつまみも美味しく、
呑ん兵衛の美加はほかの店ではうどんは食べないのだが、
此方の弾力ある細切りうどんと生姜の組み合わせは、
蕎麦にも負けぬお酒に合う稀有な逸品!

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心のこもった突き出しがサーヴィスで付くのも嬉しい。
肉が苦手の美加でもいただける、
きめの細かいつくね、我がパートナーはかつ煮も注文。

快活な若女将の存在もあり老若男女に親しまれているが、
この日は女性一人、または女性同士の客が目立つ。
恥ずかしながら美加は一人で外食したことが殆どないが、
そうね、当店ならひとりでも入れる。

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坂道の途中の大きな木、見上げると、何と酔芙蓉がたくさん。
こんなに丈の高い酔芙蓉はほかで見たことがない。
頬を染める色っぽい酔っぱらい女たちに見おろされているみたい。

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週末も生徒たちのレッスン。
11月6日(日)午後3時より、”Songbirds Concert”と銘打ち、
門下生たちとのライヴを開催する。
コロナ禍に負けずレッスンを続けてきた生徒たちの
ライフワークとしての歌、ぜひ聴きにきてくださいね!
美加もリクエストに応えるなど、多めに歌う予定です!

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.240『恋するシャンソン』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1997年 フランス映画 アラン・レネ監督『恋するシャンソン』
(ON CONNAIT LA CHANSON)
 
数ヶ月まえだったか、専門誌の編集者をしている倅から
「実家にマリエンバートあったよね?」とLINEあり。
もちろん、アラン・レネ監督作品
『去年マリエンバートで』(’61)のDVDがあるかという意味。
「DVD探したが無くてね、昔のVHSならあるわ」と返信。
原稿に引用したいとかで訪れ、VHSを鑑賞してそそくさと帰っていった。
想像が脳裏を駆けめぐり、様々な解釈が可能な、
”難解”という言葉では言い捨てられない稀有な一作である。
 
”難解映画の巨匠”と呼ばれた時代もあったアラン・レネが、
75歳にして作り上げた本作には、思わず吹き出してしまう!
男女7人の人間模様がカラフルにコミカルに描かれ、
ハリウッド・ミュージカルとは違った意味で、セリフ代わりに有名シャンソンが、
俳優たちの口から口パクでこぼれ落ちる仕掛けになっているのだから・・・
 
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監督夫人であるサビーヌ・アゼマほか、アンドレ・デュソリエ、
ピエール・アルディティ、ランベール・ウィルソン、
ジェーン・バーキンなど、映画ファンが喜ぶ芸達者が並ぶ。
 
人生で一番たいせつなことは何だろう?
他人に良く思われること?
ゴージャスな家に住むこと?
”難解”アラン・レネだけに、
あたかもサブリミナル・ショットの如く、
或る生物(笑)も映像に挿入、
最後の最後まで観客を煙に巻く。いいねえ!
91歳で亡くなるまで、
精力的に映画製作をしたアラン・レネの作品群、
お見逃しなく!

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秋暑しじつと動かぬ淡水魚 魅歌 [日記・雑感]

受傷から丸一ヶ月。A.I.先生に三度目の受診。
「案外、治りが遅いほうだねえ」と言われる。
漸く違和感すくなく歩けるようにはなったが、
急な階段を降りるときなど、未だ緊張する。

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いつも多くの患者で混みあう
『浜田山病院』の入り口の水槽には
珍しい魚たちが居り、じっとして居ることが多い。
写真はセイルフィンプレコという魚らしい。
すいすい泳がれるよりは、停滞しているほうが、
今のところ身につまされるというもの。

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両脚を見比べると、
受傷した右足のほうが骨が見えない。
ということは、浮腫が治りきらないのだそう。
「無理はせずに歩きなさい。
    捻挫はある意味で骨折より厄介だよ」とA.I.先生。
一ヶ月後に再度レントゲンを撮るそう。
靭帯を一本傷めたとはいえ、
こんなに長くかかるなんて思いもしなかった・・・
皆さん、くれぐれも怪我なきように!

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"大橋美加のシネマフル・デイズ”No.239『小早川家の秋』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1961年 日本映画 小津安二郎監督『小早川家の秋』
 
「スズメ百まで踊り忘れず」と、亡き祖母がよく言っていたっけ・・・
本作は”ウ”の項で紹介した『浮草』(’59)同様に、
小津の数少ないカラー作品(6作)のなかの一作であり、
京都は伏見の造り酒屋の悲喜こもごもである。
 
妻に先立たれた当主は、家庭を取り仕切る長女の目を掻いくぐり、
ひょいひょいっと着物を着がえ、ひょこひょこ出かけてゆく。
とぼけた表情が似合うまさに”タヌキ親爺”中村鴈治郎扮する当主の
行き先に待つのは、浪花千栄子扮する、嘗てのお妾さんである。
 
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現代劇でもお歯黒みたいに見える浪花千栄子の口元。
子どものころ、彼女の顔が怖くてしかたなかった。
色っぽくて怖い小母さんというイメージの、個性派女優である。
 
しっかり者の長女に新珠三千代、
芯の強い長男の未亡人に原節子、
お人形のような次女に司葉子、
そして、憎々し気な演技で場をさらう杉村春子。
 
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昔の「をんな」たちは、只々我慢していただけじゃない。
踊り疲れて倒れていく「をとこ」たちを嗤いながら、
心に炎を隠し持って生き抜いたんだなあ。
火葬の煙に人間の業(ごう)が混じる、
ラスト・シーンも忘れ難い名作。

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"大橋美加のシネマフル・デイズ”No.238『ゴッホ』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1990年 英・仏・蘭合作映画 ロバート・アルトマン監督
『ゴッホ』(Vincent &Theo)
 
アートだいすきの身ゆえ、画家の人生を描いた多くの映画を観てきたが、
作品数に於いて、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホを凌ぐ画家はいない。
貧困・悲惨・悲哀と劇的な要素を挙げて韻が踏めてしまうだけでなく、
やはり映画作家なら、あの色彩とタッチを映像化してみたいと思うのだろう。
 
しかしながら、ジャズと育ち”アメリカ”の群像劇を創り続けたロバート・アルトマンが、
ヴィンセントと弟テオの物語を撮るとは意外だった。
公開時にちいさな試写室で観たが、
流石はアルトマン、出だしが揮っている。
このファースト・シーンだけで
他の”ゴッホ映画”に思いきり差をつけているから、
どうか、お見逃しなく!
 
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薄暗い部屋で、浮浪者のような身なりで絵を描くヴィンセント。
きちんとした服装で窓辺に立つテオは、
伯父の画廊に勤め、兄を支援し続けている。
 
アルトマンは群像劇を得意とした映画作家であり、
”ウ”の項で『ウエディング』(’78)を紹介したので、参照あれ。
エピソードは星の如く散りばめるが、クドクドと説明しない。
ヴィンセントとテオのゴッホ兄弟に関しても、
観客の想像に概ねを委ねたつくりとしている。
人物を描ききることで物語った点が、
本作が絵画的な秀作となった所以かも知れない。
 
ヴィンセントには、当時20代にして天才の片鱗が見えるティム・ロス。
テオには、当時”第二のルパート・エヴェレット”と呼ばれていたポール・リース。
向日葵の黄色が、麦畑の黄色が、あなたを襲う。逃げられるか・・・?

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