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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.78『ウォルター少年と夏の休日』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

2003年 アメリカ映画 ティム・マッキャンリーズ監督 『ウォルター少年と夏の休日』
(SECONDHAND LIONS)
 
なぜ、こういう物語にヨワイのだろう。
親の愛を感じられずに育ったからか。
祖父、父、兄弟を知らずに育ったからか。
それとも、物語はすべて真実になりうると信じたいからだろうか。
 
舞台は1960年代初頭のテキサス。
14歳のウォルター少年は、愚かで軽薄な母親に連れられて、
農場で暮らす大伯父兄弟のもとへ預けられる。
ロバート・デュヴァル扮する兄は無口な骨太、
マイケル・ケイン扮する弟は柔らかな語り口の優男、
二人の名優にぴったりの配役。
父親をろくに知らないウォルターは、
”男の世界”に生きる大伯父たちと暮らすうち、
人生の意味を知るようになっていく。
 
ウォルター少年と夏の休日.jpg ウォルター少年と夏の休日 (2).jpg
 
”SECONDHAND LIONS”という原題がゴキゲンだ。
ウォルターを演じたハーレイ・ジョエル・オスメントが当時の人気子役であったし、
確かに少年の成長物語であるから、
この邦題にしたのだろうが、
米英ふたりの名優のキャラクターを暗示し、
ダブル・ミーニング(観てのお楽しみ!)でもある原題を
もう少し活かせればよかったのになあと悔しく思う。
今回、観なおしてまた泣いてしまった、愛すべき一作であるだけに。
 
英国出身のマイケル・ケインはご贔屓俳優のひとり。
若いころは”ア”の項で紹介した『アルフィー』(’66)に代表されるプレイボーイ役が
似合っていたが、年齢を重ね、深い味わいを感じさせる名優となった。
妖しいブルー・アイズは変わらないけれど!
 
 

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