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秋雨や日記のかたち変えてみる 魅歌 [日記・雑感]

いつも『大橋美加のバル・ド・パラディ Annex』を
読んでいただき、ありがとうございます。
この度、私のOfficial Blogは、
ホームページ『大橋美加のバル・ド・パラディ』内での掲載となりました。
アドレス
https://www.mikaohashi.com/blog

今後も、仕事を、人生を、書き綴っていきます!

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大橋美加

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秋雨やクリムトと名づけし光 魅歌 [日記・雑感]

3年ぶりかしら?コロナ禍以前は当然としても、
我が子らも含め一家四人で来た記憶しか浮かばないから、もっと前かも。
湖に面したショッピング・センターへ。
欲しい品がふたつある。
 
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ひとつめは”クリムト・ランプ”とネーミングされた電灯。
グスタフ・クリムトは美加ご贔屓の画家のひとり。
初めてこの電灯に出逢い購入してから、10年以上はゆうに経つ筈。
きわめて”REASONABLE”であるが、いつまでもきれいに輝いてくれている。
長年愛用している品の色違いをピアノの上に置きたく探し、ゲット!
随分まえにカナダで購入した小花型のライトがどんどん消えていくため、
なんとか映える方法を画策していたわけ。
 
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ふたつめは、陶器のピッチャー。
フランス映画で使われていた柄物陶器のピッチャーに似た品が欲しかったのだが無い!
ひとまずはこちらのガラス製品を使ってみることに。
 
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湖畔のショッピング・センターに来ると、
必ず撮影する、廃品使用のオブジェ”WATERFOWL(水鳥)”
「ひさしぶりね、磨いてもらったの?」と話しかける。
雨の一日、運転してくれた我がパートナーに感謝。
ピアノの上と食卓に気に入りの品が増え、仕事と家庭が充足していきますように・・・
 

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秋の宵いわなくていいことも云う 魅歌 [日記・雑感]

二年半ぶりに夜、呑みに行く。
親友KOKOが母堂と営む『三好屋』である。
「まだ、牡蠣や白子揚げ出しはないよ」とメールが来る。
40年来の友であるから、気が置けない。
 
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美味しい刺身、すだれ貝というハマグリみたいな貝の酒蒸し。
初めていただくが良い出汁がでて美味しい!
 
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KOKOの考案した海鞘玉子、美加は海鞘は苦手だが、
この一品はクセがなく、OK!
秋刀魚の塩焼き、骨も頭も全部食べられる鰈の唐揚げも堪能。
フードロス・ゼロ!
 
言わなくて良いこともつい言ってしまう友が
いるのといないのとでは、人生は大きく変わる。
友の居る幸福に乾杯!
 
 

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底紅や老人異色漂わす 魅歌 [日記・雑感]

医師より「リハビリ期間」と言われているため、無理せずに歩く。
秋の季語である花々が咲き始めている。

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それでも、6000歩から8000歩、気づけば9000歩くらいは
歩けるようになってきた。
脹脛下部の引きつりもなくなり、
幼い頃に最愛の祖母が口にした
”日にち薬”という言葉をしみじみと反芻する。

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これまで滅多に入らなかった
駅前商店街の老舗『三河屋』であさイチブランチ。
当店のちらし寿司は二段重で来る。
良いネタとおせち料理を併せたみたいな楽しい内容!
ポン酒を一合頼むと、突き出しがサーヴィスで付く。
湯葉だったり、鰻肝焼きだったりと、なかなか。

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午前11時の開店まもなく、
常連客でどんどん埋まってゆく店内。
うわあ、早く来て良かったというところだが、
我々より早く来て待っているご老人を既に二度みかけた。
長めの白髪と髭、かなり長身・痩身らしく、
面差しも彫りが深く異色を漂わせている。

ラフな服装(作務衣なのかな?)ゆえ、
毎日来店しているのかなあと想像。
日々開けている一店一店にドラマがあるんだろうなあ!
父親譲りの物書き魂が頭をもたげそう・・・

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"大橋美加のシネマフル・デイズ”No.241『孤独な天使たち』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

2012年 イタリア映画 ベルナルド・ベルトルッチ監督『孤独な天使たち』
(Io e Te)
 
『ラスト・エンペラー』(’87)でオスカー9部門に輝き、
ベルトルッチは”巨匠”となった。
美加はそれ以前に『ラスト・タンゴ・イン・パリ』(’72)や
『1900年』(’76)を名画座で観ていたから、何となく意外だった。
今は亡き淀川長治先生がベルトルッチについて語ってくれたことは、
”ア”の項の『暗殺の森』(’70)で記したので参照あれ。きっと、真実。
 
本作はベルトルッチの遺作。
淀川先生の言葉どおり、ハリウッドを経て母国イタリアで、
”大作”ではない作品を撮り、永眠した。
 
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ヘッドフォンを付けたニキビ面の14歳の少年。
よく見つけたなあ、この顔、と感心する。山犬みたいな顔つき。
そして現れる、かなり年上の如何にも不良少女の成れの果てみたいな女。
少年の異母姉とわかってくる。
 
姉弟それぞれの事情が皮肉にも重なり、
居ずまいの悪い共存が余儀なくされてゆく。
孤独な魂を抱えた弟と、心までは冒されていない異母姉の行く先は・・・?
 
救われる者と救いの神から見放される者。
若者たちに残酷な選別を施すベルトルッチ。
ラストを見据え、救われる者になって欲しい、
それがベルトルッチの遺言なのだろうか。

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酔芙蓉をんな同士の客多く 魅歌 [日記・雑感]

近くて遠い町・沼袋の蕎麦処『朝日庵』へ。
当店の細切り冷やしうどんは他ではいただけない品。
もちろん、蕎麦、天婦羅、おつまみも美味しく、
呑ん兵衛の美加はほかの店ではうどんは食べないのだが、
此方の弾力ある細切りうどんと生姜の組み合わせは、
蕎麦にも負けぬお酒に合う稀有な逸品!

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心のこもった突き出しがサーヴィスで付くのも嬉しい。
肉が苦手の美加でもいただける、
きめの細かいつくね、我がパートナーはかつ煮も注文。

快活な若女将の存在もあり老若男女に親しまれているが、
この日は女性一人、または女性同士の客が目立つ。
恥ずかしながら美加は一人で外食したことが殆どないが、
そうね、当店ならひとりでも入れる。

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坂道の途中の大きな木、見上げると、何と酔芙蓉がたくさん。
こんなに丈の高い酔芙蓉はほかで見たことがない。
頬を染める色っぽい酔っぱらい女たちに見おろされているみたい。

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週末も生徒たちのレッスン。
11月6日(日)午後3時より、”Songbirds Concert”と銘打ち、
門下生たちとのライヴを開催する。
コロナ禍に負けずレッスンを続けてきた生徒たちの
ライフワークとしての歌、ぜひ聴きにきてくださいね!
美加もリクエストに応えるなど、多めに歌う予定です!

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.240『恋するシャンソン』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1997年 フランス映画 アラン・レネ監督『恋するシャンソン』
(ON CONNAIT LA CHANSON)
 
数ヶ月まえだったか、専門誌の編集者をしている倅から
「実家にマリエンバートあったよね?」とLINEあり。
もちろん、アラン・レネ監督作品
『去年マリエンバートで』(’61)のDVDがあるかという意味。
「DVD探したが無くてね、昔のVHSならあるわ」と返信。
原稿に引用したいとかで訪れ、VHSを鑑賞してそそくさと帰っていった。
想像が脳裏を駆けめぐり、様々な解釈が可能な、
”難解”という言葉では言い捨てられない稀有な一作である。
 
”難解映画の巨匠”と呼ばれた時代もあったアラン・レネが、
75歳にして作り上げた本作には、思わず吹き出してしまう!
男女7人の人間模様がカラフルにコミカルに描かれ、
ハリウッド・ミュージカルとは違った意味で、セリフ代わりに有名シャンソンが、
俳優たちの口から口パクでこぼれ落ちる仕掛けになっているのだから・・・
 
恋するシャンソン (2).jpeg 恋するシャンソン.jpeg
 
監督夫人であるサビーヌ・アゼマほか、アンドレ・デュソリエ、
ピエール・アルディティ、ランベール・ウィルソン、
ジェーン・バーキンなど、映画ファンが喜ぶ芸達者が並ぶ。
 
人生で一番たいせつなことは何だろう?
他人に良く思われること?
ゴージャスな家に住むこと?
”難解”アラン・レネだけに、
あたかもサブリミナル・ショットの如く、
或る生物(笑)も映像に挿入、
最後の最後まで観客を煙に巻く。いいねえ!
91歳で亡くなるまで、
精力的に映画製作をしたアラン・レネの作品群、
お見逃しなく!

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秋暑しじつと動かぬ淡水魚 魅歌 [日記・雑感]

受傷から丸一ヶ月。A.I.先生に三度目の受診。
「案外、治りが遅いほうだねえ」と言われる。
漸く違和感すくなく歩けるようにはなったが、
急な階段を降りるときなど、未だ緊張する。

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いつも多くの患者で混みあう
『浜田山病院』の入り口の水槽には
珍しい魚たちが居り、じっとして居ることが多い。
写真はセイルフィンプレコという魚らしい。
すいすい泳がれるよりは、停滞しているほうが、
今のところ身につまされるというもの。

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両脚を見比べると、
受傷した右足のほうが骨が見えない。
ということは、浮腫が治りきらないのだそう。
「無理はせずに歩きなさい。
    捻挫はある意味で骨折より厄介だよ」とA.I.先生。
一ヶ月後に再度レントゲンを撮るそう。
靭帯を一本傷めたとはいえ、
こんなに長くかかるなんて思いもしなかった・・・
皆さん、くれぐれも怪我なきように!

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"大橋美加のシネマフル・デイズ”No.239『小早川家の秋』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1961年 日本映画 小津安二郎監督『小早川家の秋』
 
「スズメ百まで踊り忘れず」と、亡き祖母がよく言っていたっけ・・・
本作は”ウ”の項で紹介した『浮草』(’59)同様に、
小津の数少ないカラー作品(6作)のなかの一作であり、
京都は伏見の造り酒屋の悲喜こもごもである。
 
妻に先立たれた当主は、家庭を取り仕切る長女の目を掻いくぐり、
ひょいひょいっと着物を着がえ、ひょこひょこ出かけてゆく。
とぼけた表情が似合うまさに”タヌキ親爺”中村鴈治郎扮する当主の
行き先に待つのは、浪花千栄子扮する、嘗てのお妾さんである。
 
小早川家の秋.jpeg 小早川家の秋 (2).jpeg
 
現代劇でもお歯黒みたいに見える浪花千栄子の口元。
子どものころ、彼女の顔が怖くてしかたなかった。
色っぽくて怖い小母さんというイメージの、個性派女優である。
 
しっかり者の長女に新珠三千代、
芯の強い長男の未亡人に原節子、
お人形のような次女に司葉子、
そして、憎々し気な演技で場をさらう杉村春子。
 
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昔の「をんな」たちは、只々我慢していただけじゃない。
踊り疲れて倒れていく「をとこ」たちを嗤いながら、
心に炎を隠し持って生き抜いたんだなあ。
火葬の煙に人間の業(ごう)が混じる、
ラスト・シーンも忘れ難い名作。

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"大橋美加のシネマフル・デイズ”No.238『ゴッホ』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1990年 英・仏・蘭合作映画 ロバート・アルトマン監督
『ゴッホ』(Vincent &Theo)
 
アートだいすきの身ゆえ、画家の人生を描いた多くの映画を観てきたが、
作品数に於いて、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホを凌ぐ画家はいない。
貧困・悲惨・悲哀と劇的な要素を挙げて韻が踏めてしまうだけでなく、
やはり映画作家なら、あの色彩とタッチを映像化してみたいと思うのだろう。
 
しかしながら、ジャズと育ち”アメリカ”の群像劇を創り続けたロバート・アルトマンが、
ヴィンセントと弟テオの物語を撮るとは意外だった。
公開時にちいさな試写室で観たが、
流石はアルトマン、出だしが揮っている。
このファースト・シーンだけで
他の”ゴッホ映画”に思いきり差をつけているから、
どうか、お見逃しなく!
 
ゴッホ.jpeg ゴッホ (2).jpeg
 
薄暗い部屋で、浮浪者のような身なりで絵を描くヴィンセント。
きちんとした服装で窓辺に立つテオは、
伯父の画廊に勤め、兄を支援し続けている。
 
アルトマンは群像劇を得意とした映画作家であり、
”ウ”の項で『ウエディング』(’78)を紹介したので、参照あれ。
エピソードは星の如く散りばめるが、クドクドと説明しない。
ヴィンセントとテオのゴッホ兄弟に関しても、
観客の想像に概ねを委ねたつくりとしている。
人物を描ききることで物語った点が、
本作が絵画的な秀作となった所以かも知れない。
 
ヴィンセントには、当時20代にして天才の片鱗が見えるティム・ロス。
テオには、当時”第二のルパート・エヴェレット”と呼ばれていたポール・リース。
向日葵の黄色が、麦畑の黄色が、あなたを襲う。逃げられるか・・・?

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