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大橋美加のシネマフル・デイズ ブログトップ
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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.119『大いなる眠り』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1978年 イギリス映画 マイケル・ウィナー監督『大いなる眠り』
(The Big Sleep)

レイモンド・チャンドラーにハマった時期がある。
エラリイ・クイーンやアガサ・クリスティに飽きてきた10代の後半か。

バーの描写、中年探偵フィリップ・マーロウの独居の様子にも興味津々、
何より”もってまわった物言い”に惹かれたのかも。
確か、清水俊二氏の翻訳、かっこよかったなあ・・・

大いなる眠り.jpeg 大いなる眠り (2).jpeg

『大いなる眠り』というタイトル、
若い娘にはピンとこなかった。
今はわかり過ぎるほど!
映画版は封切りでなく、
深夜の映画番組かなにかで観たはず。

マーロウに扮するロバート・ミッチャムは、
我らが”健さん”と共演しているハリウッド・スター。
強面にも、やさしい顔にも見える俳優。
エディ・マース役のぎらぎら脂ぎったオリヴァー・リード、
そしてそして将軍役にジェイムス・スチュワートと、男優はイイのだが、
女優陣がいまひとつイメージに合わない。
将軍の長女役がサラ・マイルズというのはなあ・・・
どうしたってハワード・ホークス作品『三つ数えろ』(’46)での
ハンフリー・ボガート&ローレン・バコールと比べてしまうじゃないか!

ミッチャムの無感動な風情は、
原作のマーロウとはひと味違う気がするが、
『さらば愛しき女よ』(’75)でもマーロウを演じていたっけ。
また観かえしたくなったぞ~  

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.118『女はそれを待っている』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1958年 スウェーデン映画 イングマール・ベルイマン監督『女はそれを待っている』
(Brink of Life)

初めての出産のとき、40時間かかった。
「ボーリングの球が、私のからだを突き破ろうとしている」という感覚は、
今でも容易に反芻できる。

世界中のシネアストから尊敬の念を抱かれている
イングマール・ベルイマンの作品は、

”ア”の項で『秋のソナタ』(’78)
『ある結婚の風景』(’73)の二作を紹介したが、

本作は、年齢も立場も異なる三人の女性を一室に集めた、
妊娠・出産にまつわる一篇。


女はそれを待っている.jpeg 女はそれを待っている(2).jpeg

ベルイマンは女性を描いた作品を多く持つ。
クロース・アップを多用し、男の無理解、
人生の不条理を、訴えかける女たち。
公私ともにパートナーであった時期が周知である
名女優リヴ・ウルマンを勘定に入れずにして、
正式に5回の結婚歴があるベルイマンであるからこそ、
信憑性のある女性の描きぶりといえる。

擦りガラスの扉が開いて、産院へといざなわれる観客。
三人三様の”Brink of Life”(人生の瀬戸際)が提示され、
勢いよく擦りガラスの扉が閉まり、ドラマは終わる。
凝縮された79分、男性の感想を訊いてみたい一作品かな。

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.117『泳ぐ人』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1968年 アメリカ映画 フランク・ペリー監督『泳ぐ人』
(The Swimmer)

筋肉隆々の男が林の中から海水パンツ一丁の姿で現われ、
連なる豪邸のプールからプールを泳ぎ、
自宅へ帰ろうとする異色の滑り出しに面食らう。
当時50代であったバート・ランカスターの肉体、すごい。

彼は”エ”の項で紹介した『エルマー・ガントリー』(’60)で、
オスカー(主演男優賞)をゲット。
大柄の肉体美と迫力ある面差しで、
西部劇から口八丁手八丁の役柄まで、
ハリウッドで活躍した男っぽいスターである。

泳ぐ人.jpeg 泳ぐ人 (2).jpeg

一見、難解と映る作品だが、
発想の転換をすれば、謎解きが出来るはず。
ランカスターがトップレスで登場し、
朝からパーティ三昧のスノッブな世界が映し出されると、
観客のイマジネイションは萎えてしまい、
目のまえにある享楽に捕らえられてしまうが、

ストーリーに切り込まれる罅(ひび)を感じとれば、
本作の絡繰りが見えてくる。

いぎたなく笑い、懲りもせず女を口説き、
水中でサヴァイヴするランカスター。
寓話性に支配された、類型のない人間ドラマである。

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.116『オーケストラ・リハーサル』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1979年 イタリア・ドイツ合作映画 フェデリコ・フェリーニ監督
『オーケストラ・リハーサル』
(Orchestra Rehearsal)

天才フェリーニの作品群のなかで異彩を放つ、一幕物の世界。
公開当時、確かに劇場で観た記憶があるが、
何処を探してもパンフレットが見つからない。
興味深い解説が掲載されていたはずなのだけれど・・・

映し出されるのは古い礼拝堂であったリハーサル室。
楽譜係の老人はカメラ目線で観客に話しかけてくる。
次々に集まってくる演奏家たち。
テレビ番組のインタヴューを受ける条件の
オーケストラ・リハーサルであるとわかってくる。
只でさえギャランティに満足していない演奏家たちの自己主張と憤懣が、
観客には見えないインタヴュアーに向けてぶつけられてゆく。
個性的すぎるオーケストラ団員たちの、
どこまで本気なの?と言いたくなる言い分。
でもでも、それだけで終わらないのがフェリーニ映画!
さて、どう相成るか?密度の濃い72分!

オーケストラリハーサル.jpeg オーケストラリハーサル (2).jpeg

若いころは風刺漫画も描き、代表作『甘い生活』(’60)や、
初のカラー作品『魂のジュリエッタ』(’65)などでも
カトリックへの批判をアーティスティックに示したフェリーニ。
本作では、アコースティックな音楽に対する無理解をフェリーニ流にぶちまけてゆく。

そう、本作の後に亡くなった作曲家ニーノ・ロータへの想いが詰まった作品とも受け取れる。

たった一度の来日時に、美加が投げかけた音楽についての質問に対し、
ニーノ・ロータへの感謝の意を語ってくれたフェリーニ。
ラストで演奏されるロータのスコアには涙が出る。
本作後、フェリーニはロータ亡きあとの自作品の溝を埋めてゆくことになるのだ。  

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.115『狼たちの午後』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1975年 アメリカ映画 シドニー・ルメット監督『狼たちの午後』
(Dog Day Afternoon)

”Dog Day”とは「盛夏」を意味する。
当時の映画配給会社の邦題、イメージを掴みやすい。
初めて観たのは、”名画座少女”時代だろうか。

犯罪映画といえば、
登場人物が犯罪に手を染めるまでのストーリーがあり、
事件が起こり、終結までを描いてゆく。
本作では、何の前触れもなく、
いきなり事件を起こす主人公の姿を見せつけられる。
おまけに、初っ端から仲間割れ!
「なに?この連中だれ?」と、臨場感たっぷりの滑り出し。

狼たちの午後 (2).jpeg 狼たちの午後.jpeg 

『ゴッド・ファーザー』(’72)で知られていた
アル・パチーノが主人公に扮していなかったら、
まるでドキュメンタリーのような運び。
そうそう、相棒役も『ゴッド・ファーザー』で
愚鈍な次男フレドを好演したジョン・カザール。

ここで登場する、チャールズ・ダーニング扮する肥満の刑事。
『スティング』(’73)での悪徳刑事役が強烈であり、
またもや何かやらかすのではないかと、
テンション張りっ放しのまま、
次第に主人公の人物像があぶり出されてゆく。

社会派映画作家シドニー・ルメットは、
長編第一作にして色褪せない傑作『十二人の怒れる男』(’57)に於いて、
上質なスリルとサスペンスは舞台を選ばないと教えてくれた。
本作も殆ど場所を移さず、緊張感を持続させることに成功している。

銀行強盗に喝采を送る、満たされない市民の顔、顔、顔。
パチーノの大きな瞳にすべてが映る!

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