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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.59『イノセント』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1975年 イタリア・フランス合作映画 ルキノ・ヴィスコンティ監督『イノセント』
L'innocente)

フェリーニを知って映画にのめり込み、次にハマったのがヴィスコンティ。
本作は確か、靖国通りの『テアトル新宿』で『家族の肖像』(’74)と二本立てで観たはず。

”真紅”があふれているイメージ、よく覚えている。
豪華絢爛な衣裳、カーテン、壁紙。

小物ひとつでも「本物」でないと受けつけず、
予算オーヴァー当たり前のプロデューサー泣かせであった、貴族出身の映画作家。
10代で彼の世界を知ることが出来たのは、我が人生に於ける宝物か。
目が肥えたというわけ。 せまりくる”真紅”のなか、
身勝手きわまりない伯爵と貞淑な妻、妖艶な愛人が絡まりあう。

イノセント.jpeg イノセント②.jpeg

野性的で獣じみたジャンカルロ・ジャンニー二を伯爵にしつらえてしまうヴィスコンティ。
セックス・シンボルのラウラ・アントネッリを
貞淑な妻に化けさせてしまうヴィスコンティ。
『おもいでの夏』(’71)の清楚な未亡人ジェニファー・オニールを
妖艶な愛人に飾り立てるヴィスコンティ。
それらが全部はまっちゃうんだよなあ・・・
ラウラの裸体がくねるのを観て、初めて「官能」という言葉の意味を知った。
伯爵の酷すぎる仕打ちに、男の嫉妬の怖ろしさを垣間見た。
「映画こそ人生の学校」と、淀川長治先生は宣ったっけ・・・

ヴィスコンティ作品のキャスティングには意外性があり、
映画ファンならつい、見届けたくなる。
アラン・ドロン、ヘルムート・バーガー、
バート・ランカスターまで、容貌が気に入れば抜擢してしまう耽美派。
本作は遺作。また全作を観なおしたくなっちゃう!
たとえ我が家に大スクリーンがなくてもね!

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