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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.177『記憶の棘』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

2004年 アメリカ映画 ジョナサン・グレイザー監督
『記憶の棘』(Birth)
 
あとを引く映画。
今回、公開時から17年ぶりに観なおしたが、
結末が分かっていても、やはりあとを引く。
これは、ミステリー・タッチの作品としては、
かなり珍しい例である。
 
脚本が、ジャン・クロード・カリエールなのである。
ルイス・ブニュエル作品を随分と手がけた人。
ブニュエルの舎弟(笑)
過去のブニュエル作品に比べれば、
それほど奇妙とは言えないのだろうが、
スターのニコール・キッドマンがヒロインを務め、
母役がローレン・バコールとなると、
 ハリウッド映画にもカテゴライズされるわけで、
稀有な、貴重な一作と呼ばれるべきなのだろう。
 
記憶の棘.jpg 
 記憶の棘3.jpg
タイトル・バックに響く男の声。
「もし妻が死に、翌日に鳥が飛んできて”貴方の妻よ”と
言ったとしたら、僕はその鳥と暮らすだろう」
ランニング中に倒れる男のショット。
墓前に佇む、ボーイッシュなショート・ヘアのニコールの姿。
 
ニコール・キッドマンの作品は殆ど観ているが、
これほどのショート・ヘアは本作だけではないだろうか。
180cmの長身ゆえ、
ますますノッポに見えるがよく似合い、
演技も際立っている。
 
極めつけは、
公開当時に”天才子役”の名を欲しいままにしていた
10歳のキャメロン・ブライト。
彼の人選は絶対であり、
ニコールとのコラボレイションも素晴らしい。
 
輪廻転生を掲げながら、
慕情の落差もしくは嘘から派生するであろう
事柄に辿り着かざるを得ない、もどかしさ。
重要な役柄を演じるアン・ヘッシュの
夜叉の如き凄味も忘れられない。 

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