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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.175『キー・ラーゴ』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1948年 アメリカ映画 ジョン・ヒューストン監督
『キー・ラーゴ』(KEY LARGO)

映画にはそれぞれ、想い出がある。
ハンフリー・ボガート&ローレン・バコールおしどりコンビの一作である
『キー・ラーゴ』を観るきっかけとなったのは、
我が恩人のひとり、評論家の川本三郎氏からの質問だった。
本作でオスカー(助演女優賞)に輝いた
クレア・トレヴァーが歌った歌曲のタイトルを知りたいとのこと。

確か1990~1991年頃ではなかったかしら?
我が家に録りためたVHSのなかに本作があり、早速チェックした。
「ビリー・ホリデイの歌った
”MOANIN’ LOW"(しのび泣き)です」と報告すると、
大変に喜んでくださった。
クレアはアルコール依存症の元歌手という役であり、
一杯の酒ほしさに無伴奏で歌うシーンであった。

キーラーゴ.jpg キーラーゴ2.jpg キーラーゴ3.jpg

ボギー扮する元大佐は、
部下の戦死を報告するため、
遺族の営む島のホテルへ赴く。
未亡人に扮するのはバコール、
車椅子の老父にライオネル・バリモア。
ホテルはギャングに乗っ取られており、
ボスのエドワード・G・ロビンソン登場と相成る。

本作が稀有であるのは、かのボギーが、
E・G・ロビンソンに食われ気味であること!
ガマ親分と呼びたい迫力絶大で、
ボギーがすこし弱々しくみえる場面すらあり。
その効果あってか、
最後の最後までテンション張り続けるのだ!
クレア・トレヴァーは37~38歳、
RKO時代の美貌こそ衰えるも、まだまだ艶やかであり、
オスカーも頷ける力演と言える。

ジャズ界の”おしどりコンビ”と言えば
ジャッキー&ロイが忘れ難い。
ハンフリー・ボガートにちなんだナンバーを集め
たライヴ・アルバム『BOGIE』には、
ベニー・カーターが本作にインスパイアされて作った
”KEY LARGO”も収録されているので、
ボギー・ファンはぜひ聴いて欲しい。 

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