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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.204『下宿人』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1927年イギリス映画アルフレッド・ヒッチコック監督『下宿人』
(The Lodger)
 
いきなり、金切り声を上げている、
ブロンド女性の恐怖のクロース・アップ!
続いて遺体発見者らしき老女の目をむいた顔、
騒ぎに紛れる人々の顔、顔、顔。
 
被害者の顔のみならず、
全ての人々がメイクにより、
異様な面差しに見える。
コワくない顔の人を探すことが無駄に感じられる滑り出し。
ヒッチコック、イギリス時代の極めて初期の作品である。
 
霧深いロンドンの町に起こる連続ブロンド美女殺人事件。
とある下宿屋の高齢の父母と、美しい娘デイジー、
入り浸っているオカボレらしき刑事のジョー、
そして現われる、端正な顔立ちの謎めいた下宿人・・・
 
下宿人 (2).jpg 下宿人.jpg
 
ヒッチ作品は40作くらいは観たかな?
”ウ”の項ではハリウッド時代の『裏窓』(’54)を紹介したが、
今回ひも解いてみると、イギリス時代の作品が予想外に多いことを再認識。
 
謎の下宿人が二階を歩きまわる足音が響き、
階下にいるデイジーたちが、天井を見あげると、
天井が透けて、下宿人の脚や靴の裏が見えるショットが斬新。
イマジネイションを視覚化したショット。
なんといっても95年まえの映画だからねえ!
 
自作に必ずカメオ出演することが有名であったヒッチコック。
本作ではわりと長く映っているかと思ったが、あの人物で合っているのかな?
親しくさせていただいてる活動弁士の第一人者・澤登翠氏に確認してみたくなる・・・!

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餃子包む速さは負けぬ夏隣 魅歌 [日記・雑感]

久しぶりの手作り餃子!
満州引き上げ経験のある、
最愛の祖母仕込み。
子育て中は折節に80~100個くらい作っていたが、
子らが巣立ってからは初めてかも?
あ~あ、良妻じゃないなあ・・・
 
DSC_0334.JPG DSC_0337.JPG
 
基本的に水餃子なのである。
酢醤油にラー油でいくらでも食べられる(笑)コワい一品。
飽きたら、胡麻油で焼いていただく。
一度茹でているので、焦げ目のない部分はもっちりするのが特徴。
二人きりでは、30個も包めばたくさん。
「手伝おうか?」と訊く我がパートナーに
「NO WAY!一人のほうが速いから大丈夫」
子どものころから包んできたからね!
 
DSC_0343.JPG
 
我が家のささやかな前庭の蔓薔薇”COCKTAIL”が
リヴィング・ルームに飾られている。
今年は高い所にしか咲かず諦めていたが、
いつのまにか剪定してくれたのね。感謝。
観るほどに艶やかな色、こころが浮き立つ。
実は三階の”断捨離”とともに、
庭木も処分しようかと考えていたのだが、
花桃、花水木、モッコウバラ、COCKTAILと
次々に咲いてくれると決心が揺らぐ。
元来、土いじりのできない美加である。
全てばあちゃん(義母)が植えてくれたか、
友人から贈られたかの庭木。
さあ、どうするかなあ・・・

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.203『軽蔑』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1963年 仏・伊 合作映画 ジャン=リュック・ゴダール監督『軽蔑』(Le Mépris )

ブリジット・バルドーの裸体がまぶしい。
デフォルメされた巨乳より、
20代のBBの美乳と脚線美が好きだなあ・・・!
ゴダール作品は”ア”の項で『アルファヴィル』(’65)
”カ”の項で『勝手にしやがれ』(’60)について触れたが、
本作は、カプリ島の目の覚める海の青さに、
象徴的な”赤”が散りばめられたカラー作品。

ゴダール自身を投影した脚本家にミシェル・ピコリ、
年若い妻役にバルドー、
アメリカ人のプロデューサーには
『シェーン』(’53)の悪役で印象深いジャック・パランス。
そしてそして、何とフリッツ・ラングが”HIMSELF”で出演。
異色の組み合わせだよねえ!

軽蔑 (2).jpg 軽蔑.jpg

思えば”夫婦”の関係はシャボン玉みたいなものかも。
少しずつ大きくして、きれいな虹色にふくらませても、
ぱちっとはじけたら、それまで。
そんな脆ういものと思って、
見つめあったり、
目をそらしあったりして暮らしてゆくべきなのかな。

三回目に観なおして、年かさの夫ピコリより、
若妻バルドーのほうが哀れに思えた。
赤いオープン・カー、赤いソファ、赤いダリア、
バルドーの肢体を包む赤いバスタオル、そして、赤い血。

シネフィルたちを魅了し続ける実験的なファースト・ショットは、
永遠に色褪せることがない!


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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.202『結婚しない女』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1978年 アメリカ映画 ポール・マザースキー監督『結婚しない女』
(An Unmarried Woman)

男は妻に浮気を告白するとき、泣く。
男は若い女と浮気しながら、妻と一日に二回セックス可能。
女は愛していない男に愛撫されると吹き出す。
女は離婚すると、初潮が来た日を想い出す。
すべて、18歳の私が本作で知ったこと。
忘れられない一作品である。

タイトルは当時の流行語にもなったが、今、観かえしても充分納得できる秀作。
ポール・マザースキー監督のきめ細かな演出と、
ヒロインに扮したジル・クレイバーグの演技力によるものだろう。

結婚しない女.jpg 結婚しない女 (2).jpg

ニューヨークの風景が満載。
ハドソン川を臨むジョギング。
摩天楼の夜景を観ながらディナーの高級アパートメント。
自立しているようでしていない女性像。
まさに時代を切り取った映画なのである。

ビリー・ホリデイの歌う”I’m Yours”を聴きながら、
二度と男の”所有物”にはなりたくないと思う女心が皮肉。
ヒロインが大きな絵を抱えて、
よろけながら進んでいくラスト・シーンに喝采!


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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.201『ケス』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1969年 イギリス映画 ケン・ローチ監督『ケス』(KES)
 
”ケ”から始まる手持ちの名画、
1作目はケン・ローチ作品『ケス』を何十年ぶりかで観なおす。
労働者階級に育ち、彼らの生きる姿を妥協せず描き続ける、
おん年86歳となる、イギリス映画界が誇る名匠ローチ。
本作は1990年代半ばのリヴァイヴァル上映で観た。
 
まずは、主人公の少年ビリーのやつれたような顔に驚いたことを想い出す。
目の下にクマのある15歳の男の子なんているの?という具合。
 
ケス.jpg ケス (2).jpg
 
舞台となるのはヨークシャー地方の炭坑町。
狭いベッドに兄と背中合わせに眠る小柄で
痩せっぽちのビリーの姿から映画は始まり、
 シチュエイションの全てが見てとれる。
 
父親は蒸発したらしく、男出入りの激しい母と
炭坑で働く粗暴な兄と三人暮らしのビリー。
 緑が美しい草原で時を過ごすビリーは、
”ケス”と名付けたKESTREL(小型の隼)と
過ごす時間に安らぎを見つけてゆく。
 
学校でのシーンが印象深い。
生徒たちをあからさまに見下す先生も、
めげずに出し抜こうとする悪ガキたちも然り。
 
ひとは自分の一部を踏み台にして成長しなければならない。
それを決めるのは、
生まれた土地なのか、
親なのか、学校なのか。
 
草の色に塗りこめられた色褪せることのない名作に、
ぜひ触れて欲しい。
 

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