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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.53『イタリア旅行』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1954年 イタリア・フランス合作映画 ロベルト・ロッセリーニ監督『イタリア旅行』
(Viaggio in Italia)

ロベルト・ロッセリーニは、我が映画人生の原点である
フェデリコ・フェリーニの師匠的な映画作家。
ゴシップとしては、イングリッド・バーグマンと不倫関係となり、
バーグマンは約10年間ハリウッドを離れた。
前夫と娘を捨ててイタリアに走ったバーグマンだが、
三人の子をもうけたのち、結局ロッセリーニとも離婚することに。
一組の夫婦が離婚の危機を迎える本作は、
皮肉なことに名匠と大女優のカップルも破局へといざなってしまったことになる。

イタリア旅行.jpeg イタリア旅行②.jpeg

英国から来た結婚8年目の夫婦の、車中の会話から物語は始まる。
運転する妻に扮するのはイングリッド・バーグマン。
イメージにそぐわない豹柄の服にぎょっとする。
夫に扮するのはジョージ・サンダース、
英国出身の如何にも冷ややかでシニカルな俳優。
「眠くてたまらんから、運転を代わる」とひとこと。
えっ!?眠いなら運転するべきじゃないでしょう?またもやぎょぎょっ!
そう、噛み合わないことこのうえない夫婦!
「運転させて悪いが、すこし眠っていいかな?」と言えばいいじゃない!

演技経験のない人々を起用し、
真に迫る作品群が高い評価を受けてきたロッセリーニによる、
スター俳優二人を逃れようもない夫婦関係に押し込んだ、重みのある一作。
こういう作品こそ、時代を経てリメイクすると面白いのよね!
さて、現代なら誰に演じさせれば良いかなあ・・・


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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.52『五つの銅貨』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.52『五つの銅貨』
 1959年 アメリカ映画 メルヴィル・シェイヴェルスン監督『五つの銅貨』
(The Five Pennies)
 
これでもか、これでもかと自分のネタを見せつける、
ダニー・ケイの芸風にはすこし疲れる。
しかし、久しぶりに観ると、
やはり達者なアーティストと感心するしかない。
現在は大御所となったスティーヴ・マーティン、
美加と同世代のジム・キャリーなどなど、
影響を感じられるコメディアンは多く、その功績はやはり絶大。
彼が実在のコルネット・プレイヤー&バンド・リーダーであった
レッド・ニコルズの半生をセミ・ミュージカルで魅せる本作は、
廃れぬ人気を持つ一作。家族の物語でもあるからだろうか。
一見お涙そそるつくりだが、
ミュージシャン夫婦が平穏な家庭を築く難しさには信憑性あり。
浮き沈みある業界でステージに立たなくなれば、
すぐに忘れられてしまうもの。ファンに責任はない。
母の楽屋で育ち、我が子らも楽屋で育てたから、よくわかる。
 
五つの銅貨.jpeg 五つの銅貨②い.jpeg
 
”HIMSELF”出演のルイ・アームストロングほか、
ミュージシャンやカメオ出演も多々ありの本作、
ステージのシーンはいつ観ても楽しいが、
お気に入りのシーンは、レッドの妻ボビーが雨の日、
行きつけのダイナーに来る場面。
常に強気であるレッドの才能を信じ、
仲間のミュージシャンたちにも
おもねないボビーは、つわりで気分を悪くしバスルームへ。
ミュージシャンたちは「ありゃあ、2ヶ月だな」「いや、3ヶ月だろ」などと
口にするうち、見る気のなかったレッドのアレンジ譜を声で
なぞりはじめ、いつしか管楽器のアレンジが肉声によるハーモニーとなり、
「なかなかイイじゃないか」と納得するに至る。
かくして、レッド・ニコルズ&ファイヴ・ぺニーズはブレイクしてゆくことに。
限りなく映画的、音楽映画的な、名シーンである!
 
劇中でレッドが放つ「名人はルイとビックスと僕だけ」という台詞があり、
そういえば、ビックス・バイダーベックには、
イタリアの名匠プピ・アヴァティによる伝記的映画『ジャズ・ミー・ブルース』があるが、
サッチモにはない。”HIMSELF”出演しすぎたからかしら?

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.51『怒りの葡萄』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1940年 アメリカ映画 ジョン・フォード監督『怒りの葡萄』
(The Grapes of Wrath)

見晴るかすオクラホマの広大な地、一本道を細身の男が歩いてくる。
聞こえてくるのは”A-Tisket A-Tasket"
エラ・フィッツジェラルドの出世曲だが、
ここではインストゥルメンタルで。
ヘンリー・フォンダ扮する主人公のトム・ジョードは、
物怖じしない態度と不敵な物言いにより、その生きざまがわかる。
気の強い正義漢のため、損な役回りの男。

土地を追われ、旅から旅を余儀なくされる貧しい農民ジョード一家の長男であるトム。

祖父、祖母、父母、長女と夫、
次男、次女、三男、伯父・従弟に、
ジョン・キャラダイン扮する
元説教師ケイシーを加えて総勢13名での出発。
今にも壊れそうなトラックの荷台からこぼれ落ちんばかりの家族たち。
果たしてカリフォルニアまで辿りつけるのか、
職を得られるのか、全ての観客が不安に駆られるはず。

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長いまつげに縁どられた、まさに”Star Eyes"のヘンリー・フォンダが、
容貌にそぐわない無学で愚直な男ジョード役を切望し、演じきった。
ラストに近いモノローグでのクロース・アップには、
目元の美しさと相まって理想を追い求める情熱がほとばしる。

ジョン・フォードは本作でアカデミー監督賞、
巨体の母に扮したジェーン・ダーウェルは助演女優賞を受賞。
この欄で紹介するフォード監督作品としては『アパッチ砦』に続く2作目であり、
彼の作品をすべて観ようと決意させた
大傑作『わが谷は緑なりき』までは、おお~遠い道のり。

そう、スタインベック作品の映画化では、
ジェイムズ・ディーンの数少ない主演作『エデンの東』も忘れ難い。
こちらは秋ごろ観なおせるかなあ・・・

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『東京セントラルパークRC』初のZOOM例会参加!  [日記・雑感]

火曜日は新宿『ハイアットリージェンシー東京』で開かれている
我がクラブの例会に初のZOOM参加!
この時世に価値あることと思う。
報道で取り沙汰されている「会食」は
夜の飲み会ばかりではないようで、
「集まって食べたり喋ったり」は
感染リスクが高いことはわかっているのだから。

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番組”美加のNice'N'Easyタイム”も現在リモート収録だが、
ディレクターと美加の一対一ゆえ、複数のZOOMは初めて。
演台に立つ人も、殆どがマスク着用で話していたことに少しほっとする。
内容で気になったのは
「いっとき漸く収束していたパキスタンに於けるポリオが再発、
   新型コロナウィルスの時世に不安がつのる」という報告。

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夕方、以前に我がクラブでサポートした
カザフスタンからの留学生マルジャンからご機嫌伺いのメールが。
彼女の母国も感染が拡がっているため、
日本に留まりテレワーク中とのこと。
抜けるように白い肌と長い髪、目のぱっちりした小柄な女性。
我が倅と同年だったかな。

RC例会の現状についても心配していたため、
ZOOM参加を勧めた。画面ごしにでも、
顔を合わせることは、良いことだものね! 

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天秤にかける不安や梅雨明けず 魅歌 [日記・雑感]

生徒たちのレッスンも再開し、
すこし日常を取り戻しつつあった先月。
日々報道される感染者数に、
再び近県からの生徒たちは自粛ムードに苛まれているよう。

せめて国および都からは、明確な行動規範を提示して欲しい。

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「皆がマスクで押し黙っている通勤電車より、
   空いていても人が喋っている休日の電車のほうが怖い」という生徒もいる。
そう、確かにウォーキング中にマスクを顎にずらしている人と出くわしても、
先方が黙っているのとペチャクチャ喋っているのとでは、
嫌気が全く違う。そういう認識で間違いないですよね?誰に訊けばいい?

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「換気の悪い場所で数人以上が集まり、
   食事したり話したり歌ったりすること」が
感染リスクを助長することはわかっているが、
最近よく報道に出る「会食」という表現も、
もっと具体的に説明できるのではないかしら。

我が父・巨泉が生きていたら、どんな助言をしてくれただろう。
コラムにどんなARTICLEを書いてくれただろう。
休肝日は寝つきが悪いため、
寝室のテレビをつけてだんだん眠くなろうとしていたら、
ウィルスという存在についての番組を放映していた。
「ウィルスとは、古代から生き物の密接を離散させてきた」みたいな話だったか。
あ~寅さんじゃないけれど、
もっと学問しておくべきだったなあ・・・
詳しい人、教えて!


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