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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.186『グロリア』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1980年 アメリカ映画 ジョン・カサヴェテス監督 『グロリア』(GLORIA)

ニューヨークの徒花、グロリア。演じるのはカサヴェテスのミューズ、ジーナ・ローランズ。

ニューヨーク~ジャズ~即興と繋げたくなる、ジョン・カサヴェテス監督の実験的な作品群。
”オ”の項では『オープニング・ナイト』(’77)を紹介したが、
もっとも興行的に成功したと言われるのが、一線を画したかに見える本作。

ブロンドの徒花と、プエルトリコ人の少年フィルが、ギャングから追われる。
浮き草暮らしの中年女が、6歳の子どもを命がけで守らねばならなくなる。

グロリア (2).jpg グロリア.jpg

本作はリアルタイムで観たため、物語が進むうちに戸惑った。
当時エンタテイメント作品のように宣伝されていたため、違和感を禁じ得なかったのだ。

このエンタメとは程遠い居心地の悪さ、タイミングの悪さ、解決へと向かわない虚しさは何だろう?
カサヴェテス作品にハマり、全作品を紐解き、彼の本質を知ることになった。
きっかけこそが大事。

徒花と少年の道行きの結末は、好きに解釈して欲しい。
決定的な結末を突きつけたくなかったからこそ、カサヴェテスはあのラスト・シーンを描いたと信じたいから。

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