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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.184『熊座の淡き星影』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1965年 イタリア映画 ルキーノ・ヴィスコンティ監督 『熊座の淡き星影』
(VAGHE STELLE DELL’ORSA)

クラウディア・カルディナーレがソファに身を投げ、
しなやかな脚を無造作に動かしてパンプスを宙に放り出す。
なんてお行儀わるくて、なんてカッコイイんだろう!

ヴィスコンティ作品を10代で知ることが出来たのは
我が人生の宝であると、
”イ”の項で遺作『イノセント』(76’)を
紹介したときに書いた。
本来”作り物”であるはずの映画の中の、
ほんの小さな道具まで”本物”しか
許さなかったというヴィスコンティ。
さすが、没落貴族(笑)

本作を観たのは1982年、
神保町の『岩波ホール』であり、
採録シナリオ付のパンフレットも持っている。
1970年代後半に
”名画座少女”であった美加だが、
1982年当時はすこし大人になり、
当館にも通い詰めていたっけ。

熊座の淡き星影.jpg 熊座の淡き星影 (2).jpg

クラウディア扮する姉と
ジャン・ソレル扮する弟の
禁断の香りを漂わせる関係が、
古い屋敷を舞台に暗示されてゆく。
思わせぶりなショットが多く、
社会派の色濃い
ヴィスコンティの
初期作品を観てきたファンは戸惑うこと然り。

ジュリアン・デュヴィヴィエ作品
『舞踏会の手帖』(’37)の
ヒロイン役で知られるマリー・ベルが、
姉弟の母役で
強烈な印象を残しているのも見もの。
こういうインサートがヴィスコンティは巧いんだよなあ・・・

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