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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.113『黄金狂時代』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1925年 アメリカ映画 チャールズ・チャップリン監督
(The Gold Rush)

子どもを映画ファンにしたいなら、チャップリンを見せるに限る。
映画好きになり、人生を好きになる。
サイレント作品として本作を観て久しいが、
今回ひっぱり出したDVDは、
チャップリン本人のナレーションによるヴァージョン。

アラスカの雪山で金鉱を探す、
チャップリン扮する主人公チャーリー。
いつもの”TRAMP”のいで立ち。寒いよね!
うしろからヒグマが出てくるが、本物にしか見えない。
自分の小柄な体を逆手に取り、十二分に活用するチャップリン。

空腹のあまり、靴をゆでて食べるシーン、パンのダンス、
クライマックスの小屋のシーン、何度観てもスペクタクルそのもの。
実は美加のチャップリンベスト3は『モダン・タイムス』(’36)
『独裁者』(’40)『殺人狂時代』(’47)なのだが、
我が倅は9~10歳くらいのころ、
「『黄金狂時代』が一番好き」と言ったものである。やるな。

黄金狂時代.jpeg 黄金狂時代 (2).jpeg

チャップリンの11人の子どもを産んだのは、
結婚時10代であった3人の妻。
3番目の妻であるとチャップリン本人も語る
美人女優ポーレット・ゴダードのみ20代であり、
チャップリンの子を産んでいない。
「映画に台詞は必要ない」と言ったチャップリン、
言葉より魂ごとぶつかってくる若さを終生もとめたのかも知れない。

チャップリン作品は、老若男女だれと一緒に観ても楽しい。
笑ってほろりとして、心が通じあう。
映画を観たあとの議論が大好きであるが、
チャップリン作品を観て議論にはならない。
それでいいのだ。

そんな映画を作れる人は、
今も昔も、チャールズ・チャップリンだけかなあ。

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ささやかな滝の袂の寒桜 魅歌 [日記・雑感]

青空の下、地元の名所『哲学堂』を散策。
此処で30年以上、花見宴を開いてきたが、
昨年は我がパートナーと二人で静かに花見。
我が家から徒歩では40分くらいかかるかな。
ほんとうに久しぶりに訪れる。
桜広場を横切り、狭い一本道を奥の水辺へ辿ると、
鯉が泳ぎ、さまざまな花の樹、小さな滝もある。
薄暗い木々の向こうに、鮮やかなピンク色のかたまりをみつけ、
「あ!寒桜かな?」と思わず声を上げる。

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寒桜を撮影するのは我々と、単身の女性のみ。
ベンチには二人の高齢者のみ。水曜日の昼前だものね。
平日に自由の利く我々、土日は堅気の皆さんのため、
出歩かないことにしている。

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舗装された遊歩道には、哲学者たちの像が並ぶ。
賢人たちよ、この時世にひとこと、くださらないものか!
歩き続けると、白梅・紅梅の咲き競う庭園に通じる。
ベンチにぽつりとご老人。

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今更ながらに『哲学堂』の良さをかみしめる。
されど、今年も花見宴は無理だろうなあ・・・
ああ、いったい私たちが何をしたというのか。
いやいや、「戦禍よりマシ」と、自ら俳句に詠んだではないか!

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『哲学堂』を出て近隣を歩くに、
これまで気づかなかったお寺を見つける。
この薄紅梅、不思議な美しさでしょう?
昨日も今日も12000歩達成!
帰宅し、49年ぶりに映画作品として公開される、
シドニー・ポラックのドキュメンタリー
『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』をオンライン試写鑑賞。
感想は改めて書こう。

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.112『女が階段を上る時』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1960年 日本映画 成瀬巳喜男監督『女が階段を上る時』

コロナ禍となり、”夜の街”が槍玉に上げられたとき、
本作を観なおした。今回また、観なおしたことになる。
高峰秀子が扮する圭子は、銀座のバーの雇われママである。
体を張って成功を目論むホステスたちのなか、
”身の固い”ことで有名な佳人。
亡くなった夫を想いながらも、貧しい実家のためもあり、
水商売を続けている健気なヒロイン。

黒白映像が美しい。
凹凸の少ない日本人の顔を引き立てる。
脇を固める団令子、淡路恵子も適役。
成瀬&高峰コラボ作品は”ウ”の項で『浮雲』(’55)を紹介したが、
本作のほうが、親しみがある。
二十歳そこそこで、銀座のクラブで歌っていたとき、
ママやホステスさんたちに親切にして貰ったからか。
彼女たちの苦労は到底わからなかったけれど・・・

女が階段を上る時.jpeg 女が階段を上る時 (3).jpeg

本作は、人の好い三枚目がお似合いの加東大介に
思い切った役柄を負わせ、物語を弛ませない。
圭子に想いを寄せるバーテンダーの仲代達矢、
常客の森雅之が男の花を添える。
そう、この時代に”女”の映画を撮り、
男に花を添えさせたのは、成瀬だけではないか。

成瀬に苦しめられたヒロインは、さらに美しさを増してゆく。
倖せから引き離されながら、強く美しくなってゆくのだ。

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.111『踊る大紐育』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1949年 アメリカ映画 ジーン・ケリー&スタンリー・ドーネン監督
(On the Town)

ジーン・ケリーとフランク・シナトラ共演作と言えば、
真っ先に思いつくのがジョージ・シドニー監督『錨を上げて』(’45)か。
VHSしか手持ちがなく、今回は観なおさずにおいた。
正反対の個性の二人が水兵服で歌ったり、踊ったり。
そこにもう一人加えてトリオにしたのが、
ケリーが共同監督・振り付けも手がけた本作『踊る大紐育』!
”紐育”を”ニューヨーク”と読めるひとは古い映画通かな。

ケリーのダンス、シナトラの歌とくれば、三人目に必要なものは笑い。
登場するジュールス・マンシンはお世辞にも二枚目とは言えないが、
二人より大柄で太い美声の持ち主。
いや、彼は本当にオモシロイのですよ!
”イ”の項で紹介した『イースター・パレード』(’48)に於いても、、
小さな役ながら忘れ難い場面をつくり、見事に笑いをとっていた!

踊る大紐育.jpeg  踊る大紐育 (2).jpeg 踊る大紐育 (3).jpeg

24時間の休暇を貰い、ニューヨークに上陸する水兵たち。
積極的なケリー、内気なシナトラ、おとぼけのマンシンは、
観光とガール・ハントにわくわく、
お相手はヴェラ・エレン、ベティ・ギャレット、
そして脚線美と見事なタップを披露するアン・ミラー!
行き交う女性を物色しながら、マンシンが呟く
「エヴァ・ガードナーみたいな女は、
      そうはいるもんじゃない」という台詞が可笑しい。
シナトラは本作の2年後に、
実生活でエヴァ・ガードナーと結婚することになるんだからねえ!

久々に観かえし、本作はただ楽しいだけのミュージカルではなくて、
山田洋次作品とも響き合う弱者の人生を
皮肉に提示しているなあと感じた。
アステアのエレガンスはないけれど、ケリーには庶民的な強さがある。
自分の個性を理解しきって、マルチな映画作りをしたジーン・ケリーは
やはり突出したエンタテイナーだったんだなあ!

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早春やきれいな肺と褒められて 魅歌 [日記・雑感]

久々に、2歳から17歳まで過ごした
沼袋の町までウォーキング。
”百観音”の見事な紅梅を撮影。
花の精の息づかいが漂ってくるよう。
ちなみに観音様の撮影はNG。

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区民健診を受けた。思えば、
さまざまな検診を受けずに来たこの1年である。
有難いことに体調不良の症状はないため、
医療機関の負担を軽減するべきと考えていたのだが、
2021年2月末日までと書かれた受診券が気にかかり、
電話で問い合わせてみるに、
「受けてください」とのこと。
朝イチで予約、一般患者の診療時間まえに受診が叶った。
我が家から徒歩1分のK医院。
現在は長身で快活なジュニア
(美加よりひとまわりくらいお若いかな?)が
院長として采配を揮っている。

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レントゲンも1年ぶり。
「教科書に載るようなきれいな肺ですね」と
言っていただき、WOW!
アージュー過ぎた呑兵衛が、
体内をこんなふうに褒められるなんて嬉しい!
そうそう、昨年は胃の内視鏡検査も見送っていたっけ。
そろそろ、鼻からの内視鏡挿入が抜群に上手い、
かかりつけのI先生にもお電話してみるかなあ・・・


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