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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.111『踊る大紐育』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1949年 アメリカ映画 ジーン・ケリー&スタンリー・ドーネン監督
(On the Town)

ジーン・ケリーとフランク・シナトラ共演作と言えば、
真っ先に思いつくのがジョージ・シドニー監督『錨を上げて』(’45)か。
VHSしか手持ちがなく、今回は観なおさずにおいた。
正反対の個性の二人が水兵服で歌ったり、踊ったり。
そこにもう一人加えてトリオにしたのが、
ケリーが共同監督・振り付けも手がけた本作『踊る大紐育』!
”紐育”を”ニューヨーク”と読めるひとは古い映画通かな。

ケリーのダンス、シナトラの歌とくれば、三人目に必要なものは笑い。
登場するジュールス・マンシンはお世辞にも二枚目とは言えないが、
二人より大柄で太い美声の持ち主。
いや、彼は本当にオモシロイのですよ!
”イ”の項で紹介した『イースター・パレード』(’48)に於いても、、
小さな役ながら忘れ難い場面をつくり、見事に笑いをとっていた!

踊る大紐育.jpeg  踊る大紐育 (2).jpeg 踊る大紐育 (3).jpeg

24時間の休暇を貰い、ニューヨークに上陸する水兵たち。
積極的なケリー、内気なシナトラ、おとぼけのマンシンは、
観光とガール・ハントにわくわく、
お相手はヴェラ・エレン、ベティ・ギャレット、
そして脚線美と見事なタップを披露するアン・ミラー!
行き交う女性を物色しながら、マンシンが呟く
「エヴァ・ガードナーみたいな女は、
      そうはいるもんじゃない」という台詞が可笑しい。
シナトラは本作の2年後に、
実生活でエヴァ・ガードナーと結婚することになるんだからねえ!

久々に観かえし、本作はただ楽しいだけのミュージカルではなくて、
山田洋次作品とも響き合う弱者の人生を
皮肉に提示しているなあと感じた。
アステアのエレガンスはないけれど、ケリーには庶民的な強さがある。
自分の個性を理解しきって、マルチな映画作りをしたジーン・ケリーは
やはり突出したエンタテイナーだったんだなあ!

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