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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.108『オープニング・ナイト』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1977年 アメリカ映画 ジョン・カサヴェテス監督『オープニング・ナイト』
(OPENING NIGHT)
 
ジョン・カサヴェテスは確かにアメリカ映画を変えた映画作家と信じる。
『アメリカの影』(’59)に於いて、即興演出とインディーズ魂を観客に見せつけた。
 
”ア”の項で観なおしたかったが、手持ちがVHSしかなく、今回は断念。
 
音楽にジャズ・ミュージシャン(Bass,Comp.)のチャーリー・ミンガスを起用したことも効果大。
何といっても、”アメリカン・ニューシネマ”が生まれる前であることが凄い。
 
本作『オープニング・ナイト』は、カサヴェテスの細君にしてミューズである名女優ジーナ・ローランズに
ベルリン国際映画祭銀熊賞女優賞をもたらした力作。
 
オープニングナイト (3).jpeg オープニングナイト.jpeg オープニングナイト.jpg
 
40代になった舞台女優のあがきを、文字通り燃え尽きるような熱演で演じきったジーナ・ローランズ。
彼女は夫君の作品で窮地に追いつめられることが多いが(笑)、
本作は自身の実像と響き合う部分もあるのではないかと想わせる入魂ぶり。
いやいや、芸道一筋の孤独なヒロインとは異なり、
ジーナは女優業と母業を両立させ、三人の子を映画人として育て上げた女性。
銘演に騙されちゃいけない。
 
ちなみにTVシリーズ『刑事コロンボ』であまりにも有名な
ピーター・フォークも”カサヴェテス組”であり、本作ではちらりと客演している。
カサヴェテス夫妻も『刑事コロンボ』ゲスト出演(別々の回)がある。
ああ、また観かえしたくなった!
 
カサヴェテス作品は全作を観ているはずだが、
この時世に久々に本作を観なおし、
ヒロインとともに身体も心も消耗し、かえって解放された。
映画って何てすばらしいんだろう!

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