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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.220『5時から7時までのクレオ』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1962年 フランス・イタリア合作映画 アニエス・ヴァルダ監督
(Cléo de 5 à 7) 
 
アニエス・ヴァルダは、我が人生に多大な影響を与えてくれた偉大なる映画作家のひとり。
80歳を過ぎてからもチャレンジ精神に満ちた作品を発表しつづけ、
2019年に91歳の誕生日を迎えるまえに、惜しまれつつ他界した。
 
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ファースト・シーンはカラー!
クロスの掛かったテーブルの俯瞰に、タロット・カードが並べられていく。
女占い師と、若いヒロインであるクレオの手がカードのうえを交差し、
パッとカメラが切り替わると、
モノクロームで痩せぎすの老女の顔が映し出され、ドキッ!
 観客は魔女の顔を見てしまったような気分になる。アニエス、お見事!
 
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歌手であるらしいクレオは検査結果に怯えている。
2時間後に、がんを宣告されるかも知れないのだ。
午後5時から、分刻みのドラマが進んでゆく・・・
 
気味の悪い大道芸人たち、カフェの人々など、
アニエス作品を貫く実験的な要素も散りばめられ、
いつしかヒロインとともに、パリの街を彷徨うことになる。
 
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音楽担当の若きミシェル・ルグランが出演も兼ね、
インプロヴィゼイションとおぼしき演奏や歌を聴かせてくれるのは、
音楽ファン必見のエピソードである!

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ハイビスカス柄埋め尽くし旅の夢 魅歌 [日記・雑感]

家庭的ではない美加であるが、裁縫の真似ごとだけは好き。
亡き最愛の祖母が洋裁が得意であり、幼いころからミシンを習っていたから。

地元の手芸用品店が閉店セールとなり、超お買い得な生地が出たので、
譜面や原稿を書いたり、空を眺めてワインを飲んだりする
ささやかなサンルームを模様替えした。ハイビスカス柄で、南の島へ行った気分!

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ハイビスカスと呼びたい花を、この時節はよく見かける。
アオイ科フヨウ属の花は種類が多いらしく、
花びらや葉の形もまちまちであり、見分けは難しい。
鉢植えで売られているのはハイビスカスよね?

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長年に渡り歌を聴いていただいているジャズ・ファンのミネリンから桃が届く。
うっとりするような香りが、我が家の小さな玄関にひろがる。感謝!
茨城のライヴハウスで知り合ったおかただが、現在は東北在住ゆえ、
都内のライヴで再会できるのは、もうすこし先かなあ・・・
あたたかい心遣いに癒されるひとときである。

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.219『絞殺』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1979年 日本映画 新藤兼人監督 『絞殺』
 
1977年に実際に起きた開成高校生殺人事件を基に、
新藤兼人監督が脚色・製作も務めた問題作。
主人公の少年がウイスキー瓶をがぶがぶ煽り、こちらに投げつける。
恐れおののく両親を映し出すファースト・ショット!
 
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一人息子を東大に入学させることだけに人生を賭ける両親。
父に西村晃、母には監督夫人でもあった乙羽信子。
二人とも渾身の熱演だが、
殊に乙羽は50代半ばでヌードや濡れ場も厭わず、女優魂を見せつける。
少年・狩場勉に扮するのは狩場勉。同じ名前にがんじがらめ状態、
さぞきつい撮影であったことだろう。
本作の数年後には役者を辞めたと聞く。
 
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新藤作品は画づくりや編集が独特であり、
家庭内暴力という極めて
シリアスなストーリーの軸を、自らぶれさせる。
真の恐怖や悲劇に直面したときに、
人は突飛な振る舞いをしてしまうのだろうが、
わざわざ、まざまざと見せられると、
身震いしていいのか、
ニヤついていいのか・・・。
 
ストーリーとしても、
実際の事件に劇的な要素を大幅に組み込み、
やり場のない状況に追い打ちをかける。
何度観ても拭いきれない後味を残し、
夢にもあらわれる怖い一作である。

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『C.R.A.Z.Y.』 [映画]

昨年12月25日に58歳の若さで亡くなったジャン=マルク・ヴァレ監督
2005年の作品である本作は、同じ日である
クリスマスを誕生日にもつ少年の物語。

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舞台となるのはカナダ・ケベック州、
1960~1980年に渡る。
主人公ザックが母の胎内から生まれるべく
動き出すシーンから、映画は始まる。
父と三人の兄は飾りたてられた部屋で
”Choo Choo Train”真っ最中。なにせ、クリスマス!

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タイプの異なる三人の兄をもつ主人公の、
鬱屈したやり場のない思いが幻想もまじえて描かれる。
音楽好きの父親の影響で、自分なりの音楽世界を築いていくザック。
そのうち、兄たちとは違う自分だけの趣向に気づき、戸惑うことに。
惜しみない愛情を注ぐ母よりも、
自分の理想像を息子に当てはめて
評価の対象にする父を慕う主人公。
届かないものを追い求める気持ちは
わかるだけに遣る瀬無い。

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一枚のレコードに絞られた想い。
タイトルであり、テーマソングとも言える、
せつないラヴソング”CRAZY”
パッツイ・クラインのヴァージョンである。
ウィリー・ネルソンの書いたこの歌い手冥利に尽きる一曲は、
ジャズ系シンガーのカヴァーもあり、
美加もいつか歌ってみようかと思っている一曲。

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せっかく揃った五人兄弟、
ヴィスコンティの傑作『若者のすべて』(60’)よろしく
一人ひとりチャプターに分けても面白かったかなとも思えるが、
ヴァレによるドラマティックな既成曲活用により、個性的な演出となった。

LGBT映画と言い切るにはピースが多く、
多面的な感じかたが出来る一作だが、
監督のリベラルな立ち位置が色濃く感じられ、
ハリウッドで成功してからの
『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)
『雨の日は会えない、晴れの日は君を想う』(2015)にも
繋がっていく貴重な作品と信じる。

7月29日(金)より
新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他にてロードショー
2005/カナダ、モロッコ/フランス語、英語/カラー/129分 映倫:PG12 
後援:カナダ大使館、ケベック州政府在日事務所
原題:C.R.A.Z.Y. 配給ファインフィルムズ 
[コピーライト] 2005 PRODUCTIONS ZAC INC.

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涼風に押され蕎麦屋で昼の酒 魅歌 [日記・雑感]

意外なところで意外な一店『SOBA&HERBS うた』を見つけましたよ!
ちいさな小さな間口、外観はまるで秘密めいた喫茶店。
お菓子などがあるようで、美加の眼中にはなかったのだが、
なんと、本格的な二八蕎麦を出す店と判明!
 
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実は蕎麦に凝った時代もある美加、
若い頃は当時の応援者に数々の有名どころを案内され、堪能したもの。
蕎麦と言えば、日本酒。つい飲み過ぎてしまうため、半ば封印していた部分もあり。
 
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「北海道産の蕎麦粉を石臼で挽き・・・」と聞き、お酒も注文。
山葵の茎を漬けた突き出しとは渋いこと。
風味豊かな細切り蕎麦、つゆも甘くなく、文句なし!
 
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夫婦で切り盛りしているらしき、10席ほどの一店であり、
アクリル板・消毒・換気を徹底していることがよくわかる。
うう、蕎麦に凝っていた時代に、身体が還ってしまった!
きっと、リピーターになるだろうなあ・・・!

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