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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.218『心みだれて』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1986年 アメリカ映画 マイク・ニコルズ監督
(Heartburn)
 
亭主の浮気も作品のネタにしてしまう強さ、天晴れとしか言えない。
おまけに天下の名女優に演じさせてしまえば、効果絶大。
よくぞやってくれた、名脚本家にして監督であったノーラ・エフロン!
 
エフロン自身を投影したヒロインの
レイチェルに扮するのはメリル・ストリープ。
ファースト・ショットが如何にも思わせぶりでゴキゲン。
友人の結婚式でアーチの下に並ぶレイチェルと、
曲者ふうのジャック・ニコルソン扮するマーク。
中年同士、バツイチ同士の恋が始まる。
 
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「結婚は懲りたわ」と言うレイチェルが、
初デートでメイク・ラヴ後に
カルボナーラをベッドに運んじゃう矛盾。
食べもので釣ったら、また結婚になっちゃうよ、
あら、ホントは結婚したいのね?
 
マーク役はジャック・ニコルソンを持って来るまでもない。
メリルが上手すぎて、相手役なんて誰でもいいじゃないと思ってしまう。
そうかそうか、ニコルソンに演じさせたほうが、
元夫のダメぶりが際立つというものか!
 
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ノーラ・エフロンは本作後にメグ・ライアンを起用した
ラヴ・コメディを手がけ、一時代を築いた。
71歳の病死は惜しまれるが、後輩たちに遺した道は広いはず。
 
無名時代のケヴィン・スぺイシーが物騒な役で出演しているのは、
映画ファンなら知るところ。
ラスト・シーンは何度観てもにっこり出来る。母は強し!!!
 

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朝虹や律儀に集う七回忌 魅歌 [日記・雑感]

我が父・巨泉の七回忌が葛飾『徳念寺』で執り行われた。
我が家からは長女である美加と我がパートナー、
孫の代の瑠奈夫婦、燿司と5名参加。

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もう六年も経ったのか・・・。
コロナ禍となり停滞したような時があり、どこか釈然としない。
我が父が存命なら、COVID-19についての見解を訊きたかったなあ・・・

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久々に顔を合わせる親戚の面々。
法要のあとはアクリル板を介して、浅草『今半』のお弁当をいただく。
七回忌という行事は、初めての経験。
さあ、明日からはまた、人生を一歩一歩、進んでいきたい。

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.217『湖中の女』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1946年 アメリカ映画 ロバート・モンゴメリー監督
(The Lady in the Lake)

実験的な映画は嫌いではない。
むしろ、興味をそそられるほう。
レイモンド・チャンドラー原作の映画化は数あるが、
本作はひときわ稀有な存在。
なにしろ全編、主人公フィリップ・マーロウの目線で
映し出されるのだから!

観客と主人公の目線を同一にという演出、
つまり他の役者は皆、カメラ目線で演技するということ。
では、主人公はどのように画面に登場するのか?
それは・・・さあ、ご覧あれ!

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チャンドラーの生んだ探偵P.マーロウに扮するのは
監督も手がけたロバート・モンゴメリー。
サスペンスを孕んだ実験的映画といえば、
同時代ですぐに浮かぶのは
アルフレッド・ヒッチコック監督作『ロープ』(’48)であるが、
手法は全くの別モノ。

本作『湖中の女』は制約がありすぎるが、
監督が主演を兼ねるというケースゆえ、
前代未聞の”EXAMPLE”となった。

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美味しい役どころを演じきるのは、
フィルム・ノワールで真価を発揮した女優オードリー・トッター。
賛否両論ある作品には違いないが、
”ハード・ボイルド”の文体を、
特異な演出で描いた果敢な一作と呼びたい。

そもそもマーロウは、よく罠にハメられたり、殴られたりする。
本作では、そう、貴方が手錠をかけられた気分になるぞ・・・!

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凌霄葛すべての音の絶えし午後 魅歌 [日記・雑感]

凌霄葛(ノウゼンカズラ)が家々の垣根から咲き零れている。
この花を観ると、夏の暑さが苦でなくなる。
碧い海と白砂がみえてくるから。
 
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相変わらず、日々一万歩をウォーキングしている。
長年たずさえている晴雨両用の日傘、
ミニ・ペットボトルはフリーザーから出して持ち歩くと、
少しずつ溶けて、最高に美味しい冷たさになる。
元来、食べるのも飲むのも超おそい美加である。
氷の溶ける音がカランカランとトートバッグに響き、
少しずつ水分補給することは合っているよう。
 
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地元の”オアシス”『セントラルパーク』のじゃぶじゃぶ池の噴水が出ている。
週末は子らがきゃあきゃあ騒ぎながら、噴水をくぐっているが、
我々は土日は公園やスーパーマーケットには出来るだけ行かない生活を続けている。
水の音だけが響く公園、風が止まったような時間。
 
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先週、長女の瑠奈が珍しく実家に泊まり、
和食レストランでブランチした際に
エントランスに飾られていた七夕の笹飾り。
”笹の葉さ~らさら、軒端に揺れる” 懐かしい歌詞よろしく、
自動扉が開くと同時に風がさあっと吹き込み、見事にブレた写真!
 
年一度でなく、日々パートナーと暮らせる倖せを、
七夕以外の日も思い直さないとね~!

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"大橋美加のシネマフル・デイズ”No.216『ゴースト・ドッグ』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1999年 米・日・仏・独 合作映画 ジム・ジャームッシュ監督
(Ghost Dog:The Way of the SAMURAI)
 
ジム・ジャームッシュ監督に一度だけ、
御目文字が叶ったことがある。
見事なプラチナ・ブロンドに少年のような瞳、
かなりの長身と見受けられ、
うわあ!かっこいい!という印象。
永瀬正敏、工藤夕貴を起用した
『ミステリー・トレイン』(’89)の来日記者会見であったか、
そのとき初めて、日本贔屓なのかなと感じた。
なにしろ、オフビートな黒白作品
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(’84)を
我々の世代の映画マニアに突きつけ、
ブームを巻き起こしたインディーズ作家であったから。
 
ゴーストドッグ (2).jpg ゴーストドッグ.jpg
 
鳩が舞う空。剣術の練習をする黒人の大男。
鳩小屋のある屋上に住むその男の名は、ゴースト・ドッグ。
”葉隠”を愛読する、静かなる孤独な男。
演じるのは、フォレスト・ウィテカー。
彼がこだわり抜く生きざまが、
ジャームッシュ独特のユーモアとペイソスを含みながら描かれる。
 
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ゴースト・ドッグが対峙する
マフィアのファミリーが高齢化しているのも笑いを誘う。
銃で撃たれるまえに心臓発作で倒れちゃう、なんて場面も!
当時NYのリトル・イタリーに住んでいた
ジャームッシュならではの観察眼によるデフォルメが最高。
マフィアのボスがラッツパックのヘンリー・シルヴァだからねえ!
 
死んでゆく者、死者の意志を受け継いでゆく者。
言葉が通じないハイチ人の親友(笑)、年の離れた少女との交流は、
いつ観てもハッピーな気分になれる。
 

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