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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.217『湖中の女』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1946年 アメリカ映画 ロバート・モンゴメリー監督
(The Lady in the Lake)

実験的な映画は嫌いではない。
むしろ、興味をそそられるほう。
レイモンド・チャンドラー原作の映画化は数あるが、
本作はひときわ稀有な存在。
なにしろ全編、主人公フィリップ・マーロウの目線で
映し出されるのだから!

観客と主人公の目線を同一にという演出、
つまり他の役者は皆、カメラ目線で演技するということ。
では、主人公はどのように画面に登場するのか?
それは・・・さあ、ご覧あれ!

湖中の女.jpg

チャンドラーの生んだ探偵P.マーロウに扮するのは
監督も手がけたロバート・モンゴメリー。
サスペンスを孕んだ実験的映画といえば、
同時代ですぐに浮かぶのは
アルフレッド・ヒッチコック監督作『ロープ』(’48)であるが、
手法は全くの別モノ。

本作『湖中の女』は制約がありすぎるが、
監督が主演を兼ねるというケースゆえ、
前代未聞の”EXAMPLE”となった。

湖中の女 (2)_edited.jpg

美味しい役どころを演じきるのは、
フィルム・ノワールで真価を発揮した女優オードリー・トッター。
賛否両論ある作品には違いないが、
”ハード・ボイルド”の文体を、
特異な演出で描いた果敢な一作と呼びたい。

そもそもマーロウは、よく罠にハメられたり、殴られたりする。
本作では、そう、貴方が手錠をかけられた気分になるぞ・・・!

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