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"大橋美加のシネマフル・デイズ”No.192『クォ・ヴァディス』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1951年 アメリカ映画 マーヴィン・ルロイ監督 『クォ・ヴァディス』
(QUO VADIS)
 
マーヴィン・ルロイ監督作と言えば、ヴィヴィアン・リー主演の『哀愁』(’40)や、
グリア・ガースン主演『心の旅路』(’42)など、10代後半から20代前半にかけて、
名画座で観た作品が印象深く、何となく”女性映画の監督”的なイメージを持っていたかも。
 
歴史大作『クォ・ヴァディス』に於いても、女性の存在が大きな位置を占めている。
”エレガント・ビューティ”と呼びたいデボラ・カーの美しさが際立つ。
 
クォ・ヴァディス (4).jpeg クォ・ヴァディス (3).jpeg
 
舞台は皇帝ネロが支配するローマ帝国時代。
3年に渡る遠征を終えてローマに凱旋した将軍マーカスに扮するのはロバート・テイラー。
デボラ・カー扮する、美しく毅然とした娘リジアに一目で惹かれるが、
彼女が禁制のキリスト教信者であることを知る。
 
クォ・ヴァディス.jpeg
 
暴君ネロに扮するピーター・ユスティノフが出色。
ぽってりとした童顔の、未熟さを内包するゆえに残虐なネロを、大きな子どものように息苦しく演じる。
憧憬と信頼を寄せるペトロニウスの最期の手紙を読むシーンは笑えない!
 
そうそう、ペトロ二ウスに純愛を捧げる美人奴隷ユーニスに扮したマリナ・ベルティの魅力も忘れ難い。
やはりルロイ監督、女優選びの目に長けている。
 
戦争は殺戮。止められるのは信仰なのか、人間の心なのか。
ライオンに食い殺されるのも、爆撃されるのも、命を落とすことに変わりはない。
今、観なおして、考えたい一作。

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