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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.141『カッコーの巣の上で』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1975年 アメリカ映画 ミロス・フォアマン監督『カッコーの巣の上で』
(One Flew over the Cuckoo’s Nest)
 
ジャック・ニコルソンが金網を越えようとしている表紙の
劇場パンフレットを持っている。まさに、本作のイメージそのもの。
10代で観た衝撃的な映画を観なおすことはテンション張る作業であり、
楽しくも、恐ろしくもある。
自分がどのように成長したのか、していないのか、
自認することになるから。
 
精神病でない人間が、精神病棟に入るということ。
刑務所での労働を免れたいという、短絡的な思いつきで、
ニコルソン扮する主人公マクマーフィは、
及びもつかない状況に、自分を置くこととなる。
 
カッコウの巣の上で.jpg カッコウの巣の上で (2).jpg
 
今回観なおし、院内のセラピーのシーンに於ける、
患者たちを演じる脇役たちに改めて感動する。
当時は冷徹な看護婦長役でオスカー(主演女優賞)を受けた
ルイーズ・フレッチャーばかりが注目されたが、
ダニー・デヴィート、クリストファー・ロイド、シドニー・ラシック、
若手のブラッド・ドゥーリフ他、患者に扮する役者陣が素晴らしく、
あたかもドキュメンタリーを観るような緊張感を醸し出し、効果絶大。
 
ラクして刑期を終えられると、タカをくくっていたマクマーフィの運命は?
自堕落に生きてきた男が意志を持ったことで、生まれたものは?失われたものは?
 
10代のころ、
ラストのチーフ(ウィル・サンプソン)の行ないに涙した少女は、
今回泣けず。

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