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"大橋美加のシネマフル・デイズ”No.226『恋人たちの予感』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1989年 アメリカ映画 ロブ・ライナー監督 
(When Harry Met Sally)
 
ジャズソング満載のラヴ・コメディ。
膨大な台詞の量とも相まって、ウディ・アレン作品と比較したくもなるが、
ノーラ・エフロンの脚本により、其処は女性ウケするように抑制が効いている。
メグ・ライアンは本作のヒロイン・サリー役を得て以降、
「ラヴ・コメディの女王」と呼ばれ、
暫くハリウッドに君臨することとなった。
 
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かの“一人エクスタシー演技“も、
キュートなメグのキャラクターによる勝利にほかならない。
セクシー女優であったなら、目の遣り場に困るというもの。
 
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もう一人の主人公ハリーを演じるのは
ロブ・ライナー監督の旧友でもあるビリー・クリスタル。
コモドア・レコーズ創設者ミルト・ゲイブラーを叔父にもつ、
ジャズにも素養のある名コメディアンである。
アカデミー賞授賞式司会の常連でもあり、
劇中でも器用に歌ってくれたりと大活躍。
場面に合わせた内容のジャズソングが散りばめられているあたり、
ビリーもハリー・コニックJRとともに音楽監修したのかしらと想像させる。
 
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ハリーの必死のひとこと、「一日の終わりに話したいのは君なんだ!」
これってわりと、普遍の口説き文句だったりする。
テーマに使用された「彷徨ってきたけれど、やっぱり君じゃなきゃ」
というジャズソング“It Had to be You"は我がレパートリー。
大晦日のシーンにシナトラの
ペイソスあふれるヴァージョンで流れるのも決定的なんだよねえ!

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”美加のNice’N’Easyタイム” [テレビ・ラジオ]

水曜日はラジオ番組”美加のNice’N’Easyタイム”4週分の収録。
ミュージックバード本放送ほか、全国コミュニティFM、
インターネットでも聴ける番組に成長し、17年目に入った。

実はコロナ禍の影響により、
2週間遅れての収録となる。
美加は2年余に渡り自宅から
リモート収録ゆえ難なくきているが、
スタジオ側はまだまだ弊害あり。

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プログラムをご紹介しましょう。
10月30日『PEACEFUL』
-メレディス・ダンブロッシオ、アイリーン・クラール他。
11月6日『ジャジィ・ポップス』
-シナトラ、エラなどのポップス、ロック・ナンバーなど。
11月13日『PUNCHY』
-レニー・リー、エッタ・ジョーンズ他。
11月20日『ジャズ・コーラスの魅力』
-ジャッキー&ロイ、フォア・フレッシュメン他。


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エディ・ヒギンズ夫人でもあった
メレディス・ダンブロッシオの音楽性と渋い歌唱の
ファンであった美加であるが、
今年になりFacebookで親しくなり、CD交換と相成った。

彼女が贈ってくれた近作”Sometime Ago"から4曲をオンエア。
ちなみに、トレイドした美加の14枚目のアルバム『シネマフル・ライフ』は絶賛された!
こういうことこそ、たまらなく励みになるのよねえ!  

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夏の森過去との対話かなう場所 魅歌 [日記・雑感]

2年ぶりに森へやってきた。
我がパートナーの運転で20分ほどの都心でありながら、空気感が違う。
忌まわしい2020年の夏、仕事が出来ずに口惜しい美加は、
鎮座百年祭であったこの森を歩き、随分こころ癒されたっけ・・・

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一昨年のようにアーティストによるオブジェは点在せず、
分け入っても分け入っても緑。あれ?山頭火になっちゃう。
汗もかかず、ひたすら歩ける心地よさ。
 
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木洩れ陽が、地面に木々の模様を映し幻想的でしょう!
森のことだけを考えていられるひととき。
そのうち、様々な想い出が脳裏をよぎる。
 
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池の向こうには敷物を広げられるような草地も見えるが、
とにかく今日は木陰だけを歩くと決めたから、陽の差すほうへは行かないの。
80分間ほど歩き、お腹が鳴ってきたから、帰途につく。
さあ、明日はラジオ番組”美加のNice’N’Easyタイム”4週分のリモート収録、
森の空気を蓄えて、はりきっていきましょう!
 

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.225『恍惚の人』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1973年 日本映画 豊田四郎監督
『恍惚の人』
 
”恍惚”という、このうえなく
陶酔的な言葉の印象を一変させた有吉佐和子の原作と、
森繁久彌主演の映画化作品。
タイトルは流行り言葉にまでなった。
 
公開当時、我が最愛の祖母は60代前半にして
立派に主婦を務めていたし、
88歳で亡くなるまで、頭ははっきりしていた。
2016年に他界した我が父、今年89歳を迎えた我が母も然り。
義父母は言うまでもなく、しっかりしてくれている。
こう書いて、まったく自分は果報者と思わざるを得ない。
 
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嘗て老人性痴呆症と呼ばれた
病に蝕まれてゆく老人に扮した森繁。
撮影当時60歳に届くかどうかの
実年齢で84歳の役を、
まさに主人公が乗り移ったかのような
渾身の演技で見せる。
舅に冷遇されてきた身でありながら、
全てを引き受けることになる嫁に高峰秀子、
こちらも大熱演!
 
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黒白画面に雨が降る。
傘もささず彷徨う老人の姿で始まるところが巧い。
無駄なく物語り、観客の目を離さずに、
再び雨のシーンでクライマックスとなる。
宙を追う老人の眼と不安定なカメラワークは、
観客の恐怖心を煽る。
そういえば、
フローリアン・ゼレール監督による秀作
『ファーザー』(2020)も、
ホラー映画の如き怖さがあった。
”死”も”認知症”も、未知なるものは恐ろしい。
 
羽田澄子監督はドキュメンタリー作品
『痴呆性老人の世界』(’86)
『安心して老いるために』(’90)により、
恐怖を緩和してくれた。
すべての人間の行く末の物語、
様々な角度から観るべきかと信じる。

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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.224『恋の手ほどき』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1958年 アメリカ映画 ヴィンセント・ミネリ監督
(GIGI)

嘗て”花嫁修業”という言葉があったっけ。
でも、”愛人修業”なんて聞いたことないなあ!
仏・米ハーフでありバレリーナ出身、
’50年代のハリウッド・ミュージカルで重宝されたレスリー・キャロンが、
20代後半にさしかかりながら、
コレット原作の15歳のヒロイン・ジジに扮する。

モーリス・シュヴァリエがフランス語訛のアクセントで歌い出す滑り出し。
甥のルイ・ジュールダンともに、
新鮮なアフェアを求める富豪である。
時は1900年のパリ。
花嫁より愛人を所望する殿方に相対するのは・・・?

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赤の壁紙に赤の家具が並ぶアパートメントに、
祖母と母と暮らすジジ。
女系一家に追い打ちをかけるのは
嘗ての美女・大叔母の存在。
男性不在のこの一家、どうやら我が国でいえば
”花街の母”の世界かなとわかってくる。
33歳のプレイボーイと15歳の花街娘、最後に笑う者は?

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久々に観なおし、レスリーの演技に
ジュディ・ガーランドの影響を感じた。
ミュージカル化にはコミカルな味を出せる女優が不可欠であり、
なにしろ監督はジュディの夫君であったヴィンセント・ミネリ。
フェミニストが憤慨しそうなストーリーも、
無難にオブラートでくるまれている。

パリを舞台に仕立てられたミュージカルは
同じくレスリーがジーン・ケリーと共演した『巴里のアメリカ人』(’51)
ケリーが三人の美女と相まみえる、『羅生門』をモチーフにした『魅惑の巴里』(57’)
フランク・シナトラ、シャーリー・マックレーンに、ジュールダンが絡む『カンカン』(’60)など、
衣裳やプロダクション・デザインも十分に楽しめる。
どうぞご覧あれ!

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