SSブログ

”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.230『ゴーストライター』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

2010年 仏・独・英 合作映画 ロマン・ポランスキー監督
『ゴーストライター』(The Ghost Writer)

映画は"色“で決まる。
映画用語でいうところの“ルック"である。
ポランスキー作品は数多く観てきたが、
これほど"ルック“にこだわった作品も珍しい。
まるで、不安を色にしたよう。

ロバート・ハリスの脚本を読んだポランスキーは
「レイモンド・チャンドラーみたいじゃないか!」と
色めき立ったそうだが、
これはヒッチコックだよねえ!
ヒッチも政治がらみのストーリーが少なくなかった。
もちろん、主人公は”巻き込まれ型”となる。

ゴーストライター (3).jpeg

元英国首相ラングの自叙伝を書くゴーストライターとして
雇われる主人公に扮するユアン・マクレガー。
如何にもスケープゴート的な童顔の憎めない二枚目半。
なにしろ、前任者は謎の死を遂げている。
ラングに扮するのは007経験者のピアース・ブロスナン。
とにかく”BRITS”がキイ・ワードのストーリー。
色を添えるオリヴィア・ウィリアムズ、
キム・キャトラル、こちらも”BRITS”

ゴーストライター (2).jpeg ゴーストライター.jpeg

孤島に垂れこめる灰色の雲、目眩ましの雨、冷たく佇む大邸宅。
騙そうとしているのは誰?命を狙われるのは何故?
陽の光の射さない世界で右往左往する、名無しの主人公。

人間不信の異端児ポランスキーが仕かけた、
クレジット・タイトルから恐怖が滲み出る戦慄の問題作。


nice!(0)  コメント(0)