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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.117『泳ぐ人』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1968年 アメリカ映画 フランク・ペリー監督『泳ぐ人』
(The Swimmer)

筋肉隆々の男が林の中から海水パンツ一丁の姿で現われ、
連なる豪邸のプールからプールを泳ぎ、
自宅へ帰ろうとする異色の滑り出しに面食らう。
当時50代であったバート・ランカスターの肉体、すごい。

彼は”エ”の項で紹介した『エルマー・ガントリー』(’60)で、
オスカー(主演男優賞)をゲット。
大柄の肉体美と迫力ある面差しで、
西部劇から口八丁手八丁の役柄まで、
ハリウッドで活躍した男っぽいスターである。

泳ぐ人.jpeg 泳ぐ人 (2).jpeg

一見、難解と映る作品だが、
発想の転換をすれば、謎解きが出来るはず。
ランカスターがトップレスで登場し、
朝からパーティ三昧のスノッブな世界が映し出されると、
観客のイマジネイションは萎えてしまい、
目のまえにある享楽に捕らえられてしまうが、

ストーリーに切り込まれる罅(ひび)を感じとれば、
本作の絡繰りが見えてくる。

いぎたなく笑い、懲りもせず女を口説き、
水中でサヴァイヴするランカスター。
寓話性に支配された、類型のない人間ドラマである。

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