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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.118『女はそれを待っている』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1958年 スウェーデン映画 イングマール・ベルイマン監督『女はそれを待っている』
(Brink of Life)

初めての出産のとき、40時間かかった。
「ボーリングの球が、私のからだを突き破ろうとしている」という感覚は、
今でも容易に反芻できる。

世界中のシネアストから尊敬の念を抱かれている
イングマール・ベルイマンの作品は、

”ア”の項で『秋のソナタ』(’78)
『ある結婚の風景』(’73)の二作を紹介したが、

本作は、年齢も立場も異なる三人の女性を一室に集めた、
妊娠・出産にまつわる一篇。


女はそれを待っている.jpeg 女はそれを待っている(2).jpeg

ベルイマンは女性を描いた作品を多く持つ。
クロース・アップを多用し、男の無理解、
人生の不条理を、訴えかける女たち。
公私ともにパートナーであった時期が周知である
名女優リヴ・ウルマンを勘定に入れずにして、
正式に5回の結婚歴があるベルイマンであるからこそ、
信憑性のある女性の描きぶりといえる。

擦りガラスの扉が開いて、産院へといざなわれる観客。
三人三様の”Brink of Life”(人生の瀬戸際)が提示され、
勢いよく擦りガラスの扉が閉まり、ドラマは終わる。
凝縮された79分、男性の感想を訊いてみたい一作品かな。

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