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”大橋美加のシネマフル・デイズ”㊶『アガサ 愛の失踪事件』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1979年 イギリス映画 マイケル・アプテッド監督 『アガサ 愛の失踪事件』
(AGATHA)
 
コンポーザーそしてアレンジャーとして著名な
ジョニー・マンデルが作曲、ポール・ウィリアムス作詞
”CLOSE ENOUGH FOR LOVE”という歌曲がある。
凝ったメロディと大人同士の恋愛を想像させる歌詞の付いたナンバーである。
「貴方と私、そぐわない二人。ゆっくりと触れあい、心を通わせた、住む世界の違う二人。
   友だち以上、恋人未満。はじまりも終わりもない、
   二人だけの秘密。限りなく愛に近い関係だった・・・」
いつか歌おうと想いながら、未だ手を付けていない
この一曲がテーマソングとして使われた映画が本作。
 
アガサ 愛の失踪事件.jpg アガサ 愛の失踪事件②.jpg
 
1926年12月、ミステリー作家としてすでに著名であった
アガサ・クリスティが11日間失踪した事実を下敷きに、架空の解釈で作られた一作。
アガサに扮するのは長身のヴァネッサ・レッドグレイヴ、
アガサ個人に興味を抱く売れっ子コラムニストに小柄な名優ダスティン・ホフマン。
テーマソングさながらに、ためらいがちな大人同士の”限りなく愛に近い”
ストーリーがミステリー・タッチで展開される。
映画史上、もっとも”ノミのカップル”である二人による慎ましいキス・シーンがせつない。
アガサが滞在中のホテルでピアノを弾きながら”THEY DIDN'T BELIEVE ME"を歌うシーンもあり。
マンデルの大先輩であるグレイト・コンポーザー、ジェローム・カーン作曲、
ハーバート・レイノルズ作詞のラヴソング。
「貴方がどんなに素敵なひとか皆に話したけれど、
   信じてくれなかったわ、でも貴方は私を選んでくれた」
劇中のアガサの進退きわまる愛憎を想えば、皮肉な内容の一曲である。
名カメラマン、ヴィットリオ・ストラーロの流麗な映像も一見の価値あり。 

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