SSブログ

”大橋美加のシネマフル・デイズ”㊱『ある結婚の風景』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1973年 スウェーデン映画 イングマール・ベルイマン監督 『ある結婚の風景』
(Scenes from a Marriage 

「疫病」の前では人類はひとつであると、
ひしひしと感じさせられるこの時世に、
「結婚」という二文字の前にも、人類ほぼ同類であるのかと、
まざまざと見せつけられてしまうとは!
”ア”の棚を探していて、ついつい観かえしてしまった。
ベルイマン、恐るべし!ああ、後悔先に立たず・・・

結婚10年目、夫42歳、妻35歳。
二人の娘に恵まれ、何不自由ない暮らしの一組の夫婦が、
地方紙の取材を受けるシーンから映画は始まる。
モス・グリーンの上品なソファに並んで座り、インタヴューを受ける二人。
自信たっぷりに夫婦仲を語る夫には、
アンドレイ・タルコフスキー作品でも知られる演技派エルランド・ヨセフソン。
はにかみながら充足した生活を口にする妻に、
ベルイマン夫人でもあった国際派女優リヴ・ウルマン。

ある結婚の風景.jpeg ある結婚の風景②.jpeg

ためいきをつく間もない台詞のやりとりと、
ストーリー展開。クロース・アップを多用し、
うろたえる夫、激情を隠そうとする妻の表情が迫りくる。
夫から愛する女が出来たと告白された年下の妻が、何とか懐柔しようと、
必死に”俄か包容力”を発揮するシーンには、こころ乱される。
こりゃ、映画好きの我がパートナーと一緒に観なくて良かったあ・・・
「貴方のおかげで何とか無事に来ました」とお礼を言わなきゃならないものねえ!

さすがのヨセフソンとウルマン、殆ど二人芝居であるが飽きさせず、
下手なパニック映画より手に汗にぎる夫婦劇。
ベルイマン・ファンであるウディ・アレンも、
本作にどれほど影響を受けて、男と女のドラマを紡いできたことだろう。
所詮、男と女はウサギとカメ、仲よく歩こう、ね、ね、ね!

nice!(0)  コメント(0)