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”大橋美加のシネマフル・デイズ”㊵『アパッチ砦』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1948年 アメリカ映画 ジョン・フォード監督 『アパッチ砦』
(Fort Apache)

”ア”から始まる手持ちの名画を観なおし、まずは40作目となった。
ALERTが解除され、浮かれ出す輩も少なくないようだが、
すぐれた映画を観るほうが余程の刺激をもらえる。
まだまだこの時世にしか出来ないことをするつもり。

娘時代に大傑作『わが谷は緑なりき』(’41)を観て大感動し、
ジョン・フォード作品を観つくしてやろうと無謀なことを考えた日々があった。
今でも、「炭鉱ものに駄作なし!」とラジオ番組では言っているが、
フォード作品には炭鉱ものより西部劇が多い。
『駅馬車』(’39)を始めとして、西部劇ばかり数を観るうち、
ルールと役割があると気づいた。

アパッチ砦 .jpg アパッチ砦②.jpeg

”騎兵隊三部作”の第一話とされる本作、
初っ端からインストゥルメンタルのみで『黄色いリボン』(49’)のテーマが響く。
あれ?そうだったっけ。
有名な歌詞付ヴァージョンは第二話『黄色いリボン』で聴くことになる。
馬車のなかには、一人娘(シャーリー・テンプル)を伴い、アパッチ族との
闘争が絶えないこの地に左遷されてきた、
ヘンリー・フォンダ扮する中佐。
彼はこの地で、ジョン・ウェイン扮する大尉、
ウォード・ボンド扮する曹長らと対峙することとなる。

往年ハリウッドに於ける西部劇での悪役はネイティヴ・アメリカン。
今となってはお門違いと誰もが思うはずだが、ルールなのである。
白人の憎まれ役も不可欠、本作ではハンサムで知的なイメージの大スター、
ヘンリー・フォンダがその役を担う。
ムード・メイカーも必要であり、軍曹役のごついヴィクター・マクラグレンが
一手に引き受け大いに笑わせてくれる。
たしかマクラグレンは三話ともに軍曹役だったか。
そして、何といっても圧巻は撮影!
70年以上まえに、この馬上決戦をよく撮ったなあ!

どれほどの撮影システムが開発されようが、
この時代に成しえた捨て身のカメラワークに叶うはずはないよねえ!


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