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『ちいさな独裁者』 [映画]

 ドイツのロベルト・シュヴェンケ監督・脚本による、
独・仏・ポーランド合作映画
『ちいさな独裁者』は、
ナチス時代の末端の加害者を描く、驚愕の実話。


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舞台となるのは、1945年4月終戦直前のドイツ。
荒々しい息づかいとともに逃げてくる若い兵士を、

ジープで追いながら将校が銃を撃ち続け弄ぶ
ショッキングなシーンから映画は始まる。

命からがら逃げた若い兵士は、
打ち捨てられた車の中から、
ナチスドイツの軍服・軍帽・食糧を見つける。


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軍隊から逃走中に偶然みつけた軍服などにより
大尉に成りすまし、権力を利用して残虐な行為を繰り返した

当時20歳のヴィリー・へロルト。
シュヴェンケ監督は、この若者の人物像を一切語らずに、
彼のしたことを淡々と描き出す。

まるで、観客ひとりひとりに答えを
見出せと問いかけるように・・・


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緊張感あふれるシーンの撮影中、
俳優たちも極限状態であったという本作、

ようやく辿り着いたラストに待ち受ける、
またもや背筋がぞっとするエンド・クレジット!

戦争を無くすため、どんな映画が必要なのだろうか・・

2017 - Filmgalerie 451, Alfama Films, Opus Film 

配給:シンカ/アルバトロス・フィルム/STAR CHANNEL MOVIES
ヒューマントラストシネマ有楽町、
新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開

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『旅するダンボール』 [映画]

”It's only a paper moon,sailing over a cardboard sea"
ジャズソングの歌詞の一節である。
歌のなかではダンボール(cardboard)は舞台装置のマテリアル。


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1987年神奈川県生まれである島津冬樹は、
財布を買うお金がなかった時、
ダンボールで財布を作ったことをきっかけに、

本格的にダンボール・アートに取り組むことに。
マテリアルとしてではなく、実際に街角に打ち捨てられているダンボール箱を

拾い、作品(財布・名刺入れなど)にしていくやり方である。

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島津冬樹の活動を追った
ドキュメンタリー映画『旅するダンボール』、

他の人から見ればゴミでしかないものを作品にする、
ひとことで言えばゴミを減らす、環境保護につながる活動でもあると、

世界中から注目されているという。

初日来場者プレゼント (640x426).jpg ポテトの段ボールから作った財布 (640x427).jpg

本作を観てなにより楽しい気分になるのは、
島津氏が語る”ダンボール愛”

「日本のダンボールは殆ど可愛いゆるキャラが描かれている、
西洋などはカッコいいデザイン、色あいが多い」などなど・・・

美加はマニア魂のある人、だいすき。
いつかお会いしてみたいなあ・・・

さあ、ダンボールの旅を見とどけて、笑って泣いて!

12/7(金)YEBISU GARDEN CINEMA/新宿ピカデリーほか全国順次公開

(c) 2018 pictures dept. All Rights Reserved




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『顔たち、ところどころ』 [映画]

フランスを代表する映画作家であり、
女性映画作家の草分け的存在であるアニエス・ヴァルダは
1929年生まれ、近年では”ヌーヴェル・ヴァーグの祖母”とも
呼ばれているらしい。偉大すぎる祖母である!

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そんなアニエスと、同じくフランスのアーティストJRとの
コラボ作品である『顔たち、ところどころ』
(Faces,Places)は、ドキュメンタリーとドラマの枠を
やすやすと超える、ヒューマンな秀作である。

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アニエス・ヴァルダ作品を愛し続けてきた美加、
2015年にカンヌ国際映画祭で史上6人目となる
パルム・ドール名誉賞を受賞した際の元気な映像を見たものの、
89歳を迎える年に、新作を
観ることが叶うとは想いもせずにいた。

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本作でアニエスとコラボするJRは33歳、
一般人参加型アート・プロジェクト”Inside
Out"で知られるアーティスト。
アートは自由な発想のもとに活かされていくべきものと
信じさせてくれるアイディアの持ち主である。

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アニエスとJRが出会い、互いのアートを認めあい、
フランスの田舎を旅しながら、村人たちと接し共に作品を作り、
その場に残していくプロセスが描かれていく。

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祖母と孫息子ほど年齢の離れた二人によるロード・ムーヴィー、
且つ計算された見事なアート作品であり、
世代を超越したヒューマン・ドラマとも言える本作。
ラストまでわくわく、ドキドキしながら、
映画史上あらたに刻まれた
凸凹コンビを堪能しよう!

2018915日(土)より、シネスイッチ銀座、
新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開
[コピーライト] Agnes Varda - JR - Cine-Tamaris - Social Animals 2016.


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『皇帝ペンギン ただいま』 [映画]

フランスの映画作家リュック・ジャケが2005年に発表、
アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞、

世界中が感動した奇跡のドキュメンタリー映画
『皇帝ペンギン』の続編が公開される。

泣きましたよ、美加は!親ペンギンの姿に!
人間の親の百倍、いや千倍はすごい!

続編のタイトルは『皇帝ペンギン ただいま』 
うわあ、かえってきてくれるのね・・・


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世界でなんと2500万人が観て感涙にむせんだ傑作、
あまりに唯一無二の力作であるがゆえに、

第二弾が完成するとは夢にも思わなかった!

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今回もまた、観客のいや、我々人間の心を捉えて離さないのは、
ヒナを育てる親ペンギンの姿!

命がけでヒナを守るオトウサン、
潔く我が子から離れていくオカアサン、
ああ、見習わねば・・・


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実はかなりのペンギン好きである美加、
種類やヒナの顔と親の顔の違いは知っていたが、

この続編で新たに、驚愕の姿を発見!
親より体が大きくなっても、
あのヒナ顔の時期があるということ!

まるで巨大な赤ちゃんペンギン!
必見の思春期時代か?


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本能では皇帝ペンギンの親に遥かに劣る、
我々人間の親たち(もちろん美加も含む)である。

人間にしか出来ないこと、考えて考えて言葉を使って
コミュニケイションしていかねばと痛感!


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生物学の高等教育終了後、南極の基地で14ヶ月に渡る越冬を経験、
それが前作『皇帝ペンギン』完成に繋がったジャケ監督。

生き物に寄り添い、生き物の目線になれる人であるからこそ生まれた傑作である!

『皇帝ペンギン ただいま』
監督:リュック・ジャケ 日本語版ナレーション:草刈正雄
[コピーライト] BONNE PIOCHE CINEMA ? PAPRIKA FILMS - 2016 - Photo : [コピーライト] Daisy Gilardini
8月25日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ他、
全国順次ロードショー!

配給:ハピネット



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『ラジオ・コバニ』 [映画]

「未来のわが子へ ラジオ・コバニのお話をしましょう
これは私の街、コバニの物語 私とあなたと
多くの人たちの物語です・・・」

二十歳の女性が、まだ見ぬ我が子に
語りかける詩で始まる69分の映画。


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イラク出身のクルド人であるラベー・ドスキー監督の
手になる『ラジオ・コバニ』は、

ISとの戦闘により瓦礫と化したシリア北部の街・コバニで、
手作りのラジオ局を始める大学生ディロバン・キコを
追うドキュメンタリー作品。

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トルコとの国境に近いシリア北部のクルド人街・コバニは、
2014年9月から過激派組織ISの占領下となるも、

クルド人民防衛隊(YPG)による迎撃と
連合軍の空爆支援により、2015年1月に解放された。

二十歳のディロバンは友人とラジオ番組『おはよう コバニ』を立ち上げる。
度重なる不遇にもめげす、

スタジオ移転やトラックからの放送も辞さない彼女は、
ISと戦うクルド女性防衛部隊の司令官、難民キャンプで暮らす親
子などにも
インタヴューを続けていく。

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ディオバンが負った心の傷の大きさも、ごく自然に語られる。
幼馴染みの女性が斬首され、さらされたという事実。

「あのときから、私の感情は死にました・・・」と語るディオバン。
それでも、未来のために放送に執着する姿が、

映し出される。長年、ラジオ番組に携わる身として、
衝撃を受けた一作。

「戦争に勝者などいません。どちらも敗者です」という
詩の一節を忘れたくない。

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