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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.96『エーゲ海の天使』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1991年 イタリア映画 ガブリエーレ・サルヴァトレス監督『エーゲ海の天使』
(MEDITERRANEO)


疫病の真っ只中から逃れて、暫し現実逃避したい!
我が身も含め、この時世に夢みる人は多いことと思う。
美加の眠りの中の夢は、
通常から感触・匂い・味などすべて存在する世界であり、
現実逸脱はなかなか叶わない。
リアル過ぎるのよね!
本作を試写室で観た時代を懐かしく想い出す。
サファイア色の海が忘れられない。

第二次世界大戦中の1941年、
エーゲ海に浮かぶ島に任務で上陸した8名のイタリア兵の物語。
何処までも蒼い海とゆったりと流れる時間に身を任せる彼らに売り込みに来るのは、
ヴァンナ・バルバ扮する気のいい娼婦。

エーゲ海の天使.jpeg エーゲ海の天使(3).jpg エーゲ海の天使 (2).jpg

30年近く時が流れ、再び本作を観なおした。
「僕らは国に見捨てられた」という兵士の言葉が心に響く。
戦争がなければ、失われずに済んだもの。
戦争により見舞われた別の人生。

ずいぶん昔に、
本作のことを拙著『私の偏愛シネマ・ガイド』に記したことがあり、
『鎌倉市川喜多映画記念館』にも所蔵されている。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した、愛すべき一作品である。

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