『アスファルト』 [映画]
”グランド・ホテル形式”に擬えたすぐれた群像劇はこれまでにたくさん観てきたが、
フランスのサミュエル・ベンシュトリ監督・脚本・原案による『アスファルト』は、
まさに類を見ない異色かつヒューマンな一作。
ファースト・ショットはとある団地のロング・ショット。
この建物、何だか動き出しそうな不気味さを発散させている。
この団地を舞台に、3組の男女に訪れる、不可思議な出会いの物語。
この古い団地の一室に住民一同が介し、
オンボロになったエレヴェーターをどうするか話し合っている。
リーダー風のオジさんが「今まで誰もがこのエレヴェーターに
閉じ込められたり、ボタンを押して指を火傷したりした、
皆でお金を出し合って修理屋を頼もう」と多数決を募るが、たった一人、反対者が出る。
団結すべき団地の住民なのに、こりゃバッシングものかとひやひや・・・
さて、それからどうなるか?寸分も目が離せない
ストーリー・テリングの間を埋めるオフ・ビート感覚。
イザベル・ユペール、マイケル・ピットなど、
国際色豊かな役者たちの持ち味、
危機感もたっぷり孕んだ、ミステリアス・ヒューマン・ファンタジーとでも
表現するしかない、ユニークさ。
こういう映画を観たあと、飲んで語り合うのが”シネマニア”の愉しみとしか言いようなし。
『エレヴェーター』というタイトルでも良かったかもね!
2015 La Camera Deluxe - Maje
Productions - Single Man Productions - Jack Stern Productions - Emotions Films
UK - Movie Pictures - Film Factory
9/3(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか
全国順次ロードショー
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