『最初の人間』 [映画]
イタリアのジャンニ・アメリオ監督は、現存する映画作家のなかで最も注目するひと。
社会派の題材を、抑制を効かせ、寓話性を加味させて描く素晴らしいアーティストである。
映画ファンの待ちに待った新作は、ノーベル文学賞作家アルベール・カミユ(1913~1960)の遺作の映画化。
46歳の若さで交通事故のため世を去ったカミユ、その際に鞄の中から発見された執筆中の小説『最初の人間』である。
1994年に未完のまま出版され、ベストセラーとなり、世界35ヶ国で翻訳、
大きな反響を呼んだ、カミユの原点と言える遺作『最初の人間』
カミユ自身を投影した主人公の作家が、生後すぐに戦死した父の墓前を参り、
現住のフランスから、生まれ育ったアルジェリアに帰るところからドラマは始まり、
1956年1月、アルジェでの講演会の様子、史実に基づく過激なシーンへと繋がっていく。
ピエ・ノワール(父はフランス人、母はスペイン系)として生まれ、1歳で父を失い、母方の実家での貧しい暮らし。
威圧的な祖母、若い叔父など、読み書きの出来ない家族のなか、
恩師によって文学的才能が花ひらいていく少年時代。
「太陽と海が在ったから、貧しい暮らしにも耐えられた」と語っているカミユ、
その言葉を具現化するかのような、目のさめるように青い海は、映画のなかで十分活かされている。
日本公開されたジャンニ・アメリオ作品は全て観ているが、観るたびに”これが最高傑作”と言いたくなる。
『最初の人間』はまさに、”これぞ最高傑作”と呼びたい作品。
どうか、見逃さないで欲しい!
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『最初の人間』
12月15日、岩波ホール他全国順次公開
配給:ザジフィルムズ
Claudio Iannone
12月15日、岩波ホール他全国順次公開
配給:ザジフィルムズ
Claudio Iannone
2012-12-13 13:10
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