SSブログ

華麗なるアリバイ [映画]

アガサ・クリスティーのミステリー小説は数多く映画化されています。
もっとも好きな一作は、邦題が気に入らない’57年の『情婦』、
原題は”Witness For The Prosecution”(検察側の証人)
クリスティの短編タイトルと同じく、的を射ています。

名匠ビリー・ワイルダーが監督ですから面白いに決まっている!
タイロン・パワー、マレーネ・ディートリッヒの2大スター競演、
チャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスター夫妻(劇中では弁護士とナース役)の
何とも味わい深い丁々発止は何回観ても飽きることがありません。
ラストにまで活かされるSense of Humour が見事!
クリスティの真髄はユーモアなのです。

2000年以降は、お孫さんの意見により、
原作に忠実でなくても、自由な創作で映画化が
叶うようになったということは最近知りましたが、
どおりで『奥様は名探偵』(05)、『ゼロ時間の謎』(07)は
舞台設定も新しく新鮮でした。

7月公開予定の『華麗なるアリバイ』は、
フランスのパスカル・ボニゼール監督による、
『ホロー家の殺人』の映画化。
クリスティ自身が書いた舞台版同様に名探偵ポワロは登場しません。

アリバイmain.jpg
©2008-SBS FILMS-MEDUSA FILM

舞台は現代のフランス。
より身近でよりゴージャスに描かれる愛憎劇。
ポワロを削除することによって説明的な謎解きに頼らず、
映像のマジックとユーモアのセンスで勝負する
ボニゼール監督の試みには大いに共感できます。

数あるヌーヴェル・ヴァーグの巨匠たちに
脚本を提供してきたボニゼールの、
言葉より、役者たちの存在感と映像に賭けた一作。
ラスト・シーンには、コーエン兄弟の傑作『ファーゴ』(’96)が彷彿となります。
これだから映画はやめられません!

フランス映画ファン、クリスティ・ファンでなくてもいちどご覧になっては?

華麗なるアリバイ
2008年/フランス/93分 原題:LE GRAND ALIBI 英題:THE GREAT ALIBI
7月、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

監督:パスカル・ボニゼール
出演:ミュウ=ミュウ、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、アンヌ・コンシニ、
ランベール・ウィルソン
原作:アガサ・クリスティー「ホロー荘の殺人」ハヤカワ文庫 
提供:ニューセレクト 
配給:アルバトロス・フィルム

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0