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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.58『インディアン・ランナー』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1991年 アメリカ映画 ショーン・ペン監督『インディアン・ランナー』
(The Indian Runner)
 
ショーン・ペンという俳優については容貌も演技も苦手であったのだが、
初監督作である本作を観て、悉く見直してしまった。
アメリカン・ニューシネマへの愛着を随所にちりばめながら、
時代にも受け入れやすいスタイルに仕上げている。
 
兄と弟というと、
エリア・カザン作品ジェームス・ディーン主演
『エデンの東』(’55)が真っ先に想い起こされるが、
本作は兄と弟の重量バランスに過不足がない。
デイヴィッド・モース扮する実直な警官であり家族を愛する兄と、
ヴィゴ・モーテンセン扮するヴェトナム帰りの凶暴性ある弟、二人とも見事な適役。
 
インディアン・ランナー.jpg インディアン・ランナー②.jpg
 
家族だから、血が繋がっているから、わかりあえるはずと信じたい兄。
安住することへの不安から次第に正気を失っていく弟。
夜半のトウモロコシ畑はこんなにも不気味だったか。
丈の高い葉が黒光りし、心を覆い隠し、魂を浮遊させる。
なんとか愛そうとする兄、あくまで受けつけない弟。
かつて愛情を注いだ農園を奪われ警官となった兄。
「ここはインディアンの土地だった」と面白そうに言う弟。
 
ファースト・シーンとクライマックスに登場する
白塗りのネイティヴ・アメリカンのイメージにはぞくっと息が詰まる。
自分の家族、自分の土地、自分の世界とは?
兄の慈愛も、弟の自問もわかる気がするから、あとを引く一作品。
ちなみにショーン・ペンの監督第二作『クロッシング・ガード』
第三作『プレッジ』も必見作と呼びたい。 

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