『フラメンコ・フラメンコ』～月冴ゆる飛沫ふりまきフラメンコ 魅歌

スペインの名匠、1932年生まれであるカルロス・サウラの作品は、その殆どを観てきたつもり。

情熱を封じ込め幻想性をも持つ劇映画は他に類のない魅力を放っているが、

彼の手がけた”フラメンコ映画”もまた、映画ファンなら見逃せないもの。

映画用にセッティングされたスタジオで繰り広げられるフラメンコを淡々と映し出す、

台詞やストーリーがないという意味ではドキュメンタリーとも呼べる、サウラの”フラメンコ映画”

殊に本作はバレエやオペラの舞台を映像化したドキュメンタリーとは全く違う映画作品であると思う。

シーンは21。バイレ（踊り）、カンテ（歌）、ギター、群舞などヴァラエティに富んだ演目。

セットは印象的であるけれど、あくまでパフォーマーを際立てるように設えられている。

撮影はベルナルド・ベルトルッチ作品で知られる名カメラマン、ヴィットリオ・ストラーロ。

情熱・情念・情愛に満ちた、21のドラマが映し出されてゆく。

”フラメンコ”の語源は”FLAMA”（炎）という。英語では”FLAME”ですよね。

「名前も覚えていない昔の恋人・・・」という歌詞のついた”My Old Flame”なるジャズソングもありますね。

スペインのタブラオでフラメンコを観賞したこともある美加ですが、

現在、本作に収録されたようなパフォーマンスを一度にライヴで観賞するのは到底無理でしょう。

映画ファン、フラメンコ・ファン、音楽ファンにはぜひ体験して欲しい、

サウラ渾身のフラメンコ映画の集大成！


『フラメンコ・フラメンコ』

2012年2月 Bunnkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

配給：ショウゲート