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『Mank/マンク』 [映画]

デイヴィッド・フィンチャーは決して
”FAVORITE”ではないが、多分、全作品を観ているはず。
観るたびに感じるのは、
「長すぎる、この話なら15分短くするほうが良いのに」ということ。
前作『ゴーン・ガール』から
6年ぶりの新作『Mank/マンク』をNetflixで観る。

”Mank"とは何だろうと思うが、
脚本家ハーマン・J・マンキウィッツの愛称とわかる。
アメリカ人は長い名前を呼ばない。
我々映画ファンにとり、マンキウィッツといえば、
『イヴの総て』(’50)などで知られる
ジョゼフ・L・マンキウィッツが浮かぶ。
ハーマンはジョゼフの12歳年上の兄であり、
演劇評論家から、ハリウッドの脚本家になった人物。
本作は1941年にオーソン・ウエルズが、マンクに
『市民ケーン』の脚本を依頼した時期を中心に、
回想シーンを多用した黒白映画。

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機知に富んだ弁舌で、
まわりの人たちに刺激を与えていたマンク。
正義感も持ちあわせている。
大物たちにも気に入られながら、
アルコール依存症も色濃く、
酒が入ると「口は災いのもと」にもなる男。
演じるのはゲイリー・オールドマン。
彼が20代の頃から演技を観ているが、
年をとるほどに良くなる役者って、こういう人なんだなあ・・・
容貌が地味なことが幸いし、
近年、誰を演じても”Gary Oldman"に見えない。
このキャスティング、大正解。

当時のハリウッドの裏側を垣間見るようなストーリーは、
シネマ・クラシックス・ファンには高揚感あり。
ウィリアム・R・ハーストに扮するチャールズ・ダンス、迫力満点。
「自分で作った罠にはまった鼠」と自らを揶揄したマンク、55歳の死は早すぎる。
そういえば、本作はあまり長いと感じなかった。
往年の映画ファンはぜひ、ご覧あれ。  

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『ホドロフスキーのサイコマジック』 [映画]

御年91歳であるアレハンドロ・ホドロフスキーは、
1970年代より、マニアックな映画ファンの間でカルト的支持を得ている映画作家。
近年でも『リアリティのダンス』『エンドレス・ポエトリー』など、
自伝的なアート・シネマを発表し続けている。

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ホドロフスキー監督・脚本・主演による本作は、
彼自身が”精神分析”という行為に対して、
考え出した心理療法”サイコマジック”についての映画。
言葉を使う”精神分析”とは逆に、
行動を起こすのが”サイコマジック”であるという。

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登場するのは、実際にホドロフスキーのもとに
悩みを打ち明けに来た10組の人々。
父親から虐待され自殺寸前まで追い込まれた男性、
自身の”女性性”と”男性性”に悩むチェロ奏者の女性。
結婚式の前日にスカイ・ダイヴァーのフィアンセが
自殺したという女性などなど・・・

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”サイコマジック”の名のもとに、
次々に見せつけられる、常軌を逸脱した行為の数々。
ホドロフスキー映画を観なれた美加でさえ、
ここまでやるか!?と叫びたくなる!
「サイコマジックは無料、アートが人を癒せることを証明しようとしている。
自分のエゴを克服するのは不可能、飼い慣らせ!」と豪語する。
1990年代に彼が理論化した”サイコマジック”という手法を、
初めて映画化した、興味深い一作である。

オンライン先行公開中
https://uplink-co.square.site/psychomagic



[コピーライト]SATORI FILMS FRANCE 2019 [コピーライト]Pascal Montandon-Jodorowsky




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『海辺の映画館 キネマの玉手箱』 [映画]

大林宣彦監督が20年ぶりに故郷・尾道で撮影した
新作『海辺の映画館 キネマの玉手箱』がやってくる。

80歳を過ぎて、”ファンタスティックな反戦映画”という
new genreを確立した熱意と才覚に改めて脱帽!


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大林宜彦監督との出会いは15年近くまえだろうか。
『みちのく国際映画祭』の一環であるステージを依頼され、
盛岡で歌ったときであった。

客席に大林監督のお姿があり、
20代から作品のファンであった美加はドキドキ。

ご紹介にあずかり、「いい歌をありがとう」と
言葉をかけていただいたっけ・・・


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その後は我が倅や娘が作品に抜擢される
(『その日のまえに』主人公夫婦の長男役)など、

有難いおつきあいが続いてきた。最近は病と闘いながら、
さらに精力的に作品を発表する底力に感服するばかり。


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閉館を迎えた海辺の映画館『瀬戸内キネマ』にやってきた
3人の若者に何が起こるのか?

江戸時代から太平洋戦争まで、
我々は何処まで殺戮の歴史を実感しているのだろうか?

終戦時11歳であった亡き我が父・巨泉も
「戦争だけは二度としてはいけない」と
孫たちに語っていたっけ・・・


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主演は『マヌケ先生』『あの、夏の日 とんでろ じいちゃん』などで
”天才子役”と謳われた厚木拓郎くん。

狂言回し的役どころの小林稔侍氏も魅力的!
売れっ子俳優たちのカメオ出演も多々。

戦争を知らない子どもたちよ!(美加の世代も然り!)
大林監督の”ファンタスティック反戦映画”を、
ぜひ真摯な心で観て欲しい!

[コピーライト]2020「海辺の映画館-キネマの玉手箱」製作委員会/PSC



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『ジュディ/虹の彼方に』 [映画]

ジュディ・ガーランド最晩年を描いた『ジュディ/虹の彼方に』で、
レニー・ゼルウィガーがジュディを演じると知り驚いた。

似ても似つかない面差しであるから。
レニーの歌唱力は『シカゴ』で知られているが、
甘い歌声はジュディとは正反対。

日本公開前にオスカー(主演女優賞)に輝き、
これは見届けなくては!


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レニーに喝采を贈りたい!
面長に細い目のレニーが、
逆三角形の顔に大きな瞳のジュディに見える瞬間多し!

これはヘア&メイクとアングルの効果としても、
あのスウィート・ヴォイスが
アクの強いジュディの声に聞こえてくる!

どれほどヴォイス・トレーニングしたのか、
想像がつかない。


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最近レディ・ガガでリメイクされた
『スタア誕生』の1954年版で
オスカーを取れなかったジュディが、
さらに情緒不安定に陥り、

10代からの薬物摂取やアルコール依存で
壊れた身体に追い打ちをかけ、
結局47歳で生涯を閉じたことは有名。

確かに4作ある『スタア誕生』のなかで
最も魅力的なのはジュディがヒロインを演じた
ジョージ・キューカー版と信じるから悔しい。


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ジュディのMGM時代のミュージカル映画の
数々を観てきた美加が、
最も注目したかったのはジュディのお辞儀の仕方。

少し恥ずかしそうな、ぎこちないお辞儀。
レニーのお辞儀には見られない。
美加は中年になったジュディを知らないからだろうか。

堂々と歌い、ぎこちなくお辞儀をしたジュディ。
珠玉のミュージカルのなかで、若いまま生き続ける。

3月6日(金)全国ロードショー
[コピーライト]Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019



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『レ・ミゼラブル』 [映画]

ヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』の
舞台となったパリ郊外モンフェルメイユ出身である

アフリカン・フレンチのラジ・リ監督&脚本による
長編第一作『レ・ミゼラブル』はまさしく現代の「あゝ無情」


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舞台となるモンフェルメイユのボスケ団地は、
1960年代にミドルクラス向けに建設されたが、

高速道路建設が中止となったため”陸の孤島”となり貧困層に転売、
今では危険視される悪名高き団地となっているという。

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フランスの”郊外映画”といえば、
マチュー・カソヴィッツ監督作『憎しみ』が忘れ難いが、

この地区で生まれ育ったラジ・リ監督が突きつける本作は、
信じたくない信憑性に貫かれている。


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無垢でなければならない子どもが
武器を手に人を攻撃する。
戦地と同じ悪夢が此処にある。

スパイク・リーも応援する本作、
観て感じて、考えるべきことと信じる。

[コピーライト] SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTION


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