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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.98『エスター』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

2009年 米・カナダ・独・仏 合作映画
ジャウム・コレット=セラ監督『エスター』(ORPHAN)


「すこし与えて、すこし受けとって、すこし心が傷つくのが愛。
             世界に見放されても、二人で手を取り合うのが愛の勝利」
ビリー・ヒルが1936年に作った”Glory of Love”の歌詞である。
ステージでも歌い、レコーディングしたこともあるMy favorite songのひとつ。

ジャズ・シンガーに限らずジャンルを超えて歌われている一曲であり、
映画でも『招かれざる客』(’67)『フォーエヴァー・フレンズ』(’88)
『素晴らしき日』(’96)などでフィーチュアされてきた。
そう、愛の応援歌とでも言うべき内容だものね!
この愛すべき曲が、ホラー映画の隠れたテーマソングになろうとは、
想像だにしなかった。本作を知るまでは・・・。

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第三子を死産した妻とその夫は、互いに問題を抱えながら、
女子孤児院で利発な9歳の美少女を見初め、養子に迎える。
少女の大人びた態度や言葉が、
妻に疑惑を抱かせるのに時間はかからなかった。
さあ、一家の運命や如何に・・・。

ホラー映画の質は、実は映像でなく脚本で決まると信じる。
只のこけおどしで終わるか、
心にひっかかる寓話性を持つかの分かれ道であるから。
いずれも緊張感あふれる『ゆりかごを揺らす手』(’92)
『危険な遊び』(’93)などが彷彿となる。
最後に天才漫画家・楳図かずお作品『赤んぼ少女』の悲劇を加えた、
ショッキングな一作と呼びたい。
それにしても、バルセロナ出身のセラ監督、
なぜ”Glory of Love”を本作に散りばめたのだろうか・・・謎!

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