SSブログ

”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.95『エイトメン・アウト』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1988年 アメリカ映画 ジョン・セイルズ監督『エイトメン・アウト』
(EIGHT MEN OUT)

ジョン・セイルズ監督を知ったのは、
20代のころ渋谷の「ユーロ・スペース」で観た
『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』('84)がきっかけ。
黒人青年の姿をした宇宙人がニューヨークに現れるという
異色のファンタジーで、ジョー・モートンを一躍有名にした。
その後、セイルズ作品はつとめて観るようにしてきた。
社会派と呼べる映画作家だが、ユーモアのある堅苦しくない作風に惹かれたのかな。

ジョン・セイルズが1919年ホワイト・ソックス八百長事件を扱った
『エイトメン・アウト』は、ノスタルジックな映像で綴られていく。
カンカン帽を被った男たちがスタジアムに詰めかけ、
貧しいストリート・キッズたちにとり、野球選手はヒーローである。
どんな職業でも、働いた分のギャランティは与えられて然るべき。
選手たちを追い込んだオーナーの太鼓腹が恨めしい。
セイルズ自身もジャーナリスト役で出演、
193センチの長身とハンサムぶりが目立つ。
スターたちより、二枚目なのよね!

エイトメン・アウト (2).jpeg エイトメン・アウト.jpeg

時代を象徴するジャズソングもFEATUREされる。
1918年に作られたジャズソング”AFTER YOU'VE GONE”である。
「泣いている私を置いて去った貴方、
   いつかきっと、大切なひとを失ったと後悔するわ!」という恨み節。
八百長により、球界から姿を消した8名の選手たちに
「後悔先に立たず」と言いたいのかなあ・・・

セイルズ作品で心うごかされた『リアンナ』(’83 )は
LGBT映画の先駆けとも呼びたい力作であり、
やはりジャズソング”NEVERTHELESS” がテーマソングとなっている。
「私は正しいのか、間違っているのか、
   後悔の人生を送るのか、それにも拘わらず、
    貴女を愛しているの」という歌詞を持つ美しい歌曲。
セイルズ監督に会えたら、ジャズソング談義、したいなあ・・・  

nice!(0)  コメント(0)