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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.94『エコール』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

2004年 ベルギー・フランス・イギリス合作映画
ルシール・アザリロヴィック監督『エコール』
(INNOCENCE)

少女の笑い声にビクッとすることがある。
純粋で残酷で、無防備な笑い。
自分も嘗ては少女であったはずなのに、
怖れを仕舞い込んだ無防備さがこわい。

ルシール・アザリロヴィック監督が、
フランク・ヴェデキントの原作をもとにして作り上げた本作は、
”ダーク・ファンタジー”と呼び捨てることを憚る、
とびきりの”こわい寓話”である。

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暗い森の中にぼんやり照らされた電灯の下を、
三つ編みに白いプリーツスカートの少女が
並んで遠ざかってゆく。
こわい。
赤いリボンを髪に結んだ少女がボートを漕ぎだすと、
雨が降り始め、池の水かさが増してゆく。
こわい。

鬼才・ギャスパー・ノエのパートナーとしても知られるルシールだが、
本作の”恐怖の美学”を映画ファンの脳裏に植えつけた後、
次回作『エヴォリューション』(2015)まで、長い道程を経ることとなった。

誰が観てもわかる映画なんて、もう要らん!
観客の想像力を刺激してくれる映画にのみ、
資金を提供する出資者が
もっともっといるべきだよなあ・・・
ルシール・アザリロヴィックの感性を、ぜひ応援して欲しい!

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