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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.124『大いなる勇者』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

1972年 アメリカ映画 シドニー・ポラック監督『大いなる勇者』
(Jeremiah Johnson)

ロバート・レッドフォードと言えば、
ブロンドにブルー・アイズの美男俳優の代名詞だった。
年齢は親に近いのだけれど、”名画座少女”の身には、
往年の映画も身近に感じられたのかも知れない。
大ファンというわけではなかったが、
スクリーンに映し出される優しい笑顔は心なごませてくれた。

名匠シドニー・ポラックは、
”ア”の項で紹介した『雨のニューオリンズ』(’66)に於いて、
30歳にならないレッドフォードに
流れ者の色男を演じさせたが、
本作では実在のマウンテン・マンである
ジェレマイア・ジョンソン役で堂々主演を託している。
あの男前を髭で覆い隠し、文明を捨てた男を演じたレッドフォード、
キャリア上、最も意外なキャスティングかも知れない。

大いなる勇者.jpeg 大いなる勇者 (2).jpeg

1850年代、ロッキー山脈へと入り、
厳しい自然と闘いながら、
ネイティヴ・アメリカンに家族を殺された少年を救い、
別の種族の酋長の娘を妻とし、
自給自足の生活を続けるジェレマイア。

印象的なシーンがある。
ネイティヴ・アメリカンの妻の口元が赤くなっているのを見て、
ジェレマイアは顔中を覆う髭をすっかり剃ってしまう。
自分の髭でかぶれたと思い込んだのである。
英語を話せない妻、家族の悲劇で言葉を失った少年との日々。
徐々に心を通わせるプロットは美しく、
平和な日々が続いて欲しいと、観客は願うようになる。
雄大な自然のなか、果たして文明人は生きてゆけるのか、
せめぎあう感情を体験して欲しい。


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