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”大橋美加のシネマフル・デイズ”No.97『永遠の子どもたち』 [大橋美加のシネマフル・デイズ]

2007年 スペイン・メキシコ合作映画 J.A.バヨナ監督『永遠の子どもたち』
(EL ORFANATO)

子どもの頃の記憶ほど、鮮明なものはない。
物事の意味がわからないだけに、
観たもの、聴いた音、触れた感覚は拭えない。
今でも、とても会いたいのは、
近所に住んでいた幼馴染みのSOUくんだ。
当時、母親が仕事を持っている家庭はごく少なかった。
我が母もSOUくんのお母さんも仕事を持ち、
お父さんの存在を確かめたことはなかった。

互いに”おばあちゃん子”であった。

『シェイプ・オヴ・ウォーター』(2018)で
オスカーを受賞したメキシコの映画作家ギレルモ・デル・トロが見出した、
バルセロナ出身のJ.A.バヨナの長編第一作である本作は、
ダーク・ファンタジーの様相をも呈しているが、
底辺にあるのは”子どもの魂”の物語と受けとれる。

永遠の子どもたち.jpeg

大きな樹のまえで目を覆い、ある言葉を唱えている女の子、
後ろには5人の子どもたち。言葉が終わるまでに、少しずつ近づく子ら。
女の子が振り向くと、子らは動きを止める。
ひと目で、ああ、”だるまさんがころんだ”みたいな遊びなんだなとわかる。

成長したヒロインは嘗て自分が過ごした孤児院であった建物を買い取り、
医師である夫と、愛らしい男児とともに、
障害のある子どもたちのための施設を作る夢に邁進している。
謎めいた老女が現れるまえから、すでに一家のまわりには、
説明のつかない現象がうごめき始めている・・・

永遠の子どもたち (2).jpeg

バヨナ監督が本作の構想に、デボラ・カー主演、
ジャック・クレイトン監督作『回転』(’61)を挙げていることに感激!
娘時代に観て怖くてたまらなかった一作。
本作を公開時に観たとき、
ラスト・シーンでは恐怖を超えた涙が止まらなかった。
母業の最中であったからか。
今回10数年ぶりに観なおし、
涙ではない大きな何かが心に降り立ち、寝付けなかった。

ロケーションも忘れ難い、
稀有なゴシック・ホラーと呼べる一作である。

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