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『おとなのけんか』 [映画]

我が父よりひとつ年上の1933年生まれであるロマン・ポランスキー監督は、
センセーショナルな作品を世に送り出すとともに、自らも数奇な運命を掻い潜ってきた人物。
近年も刺激的な作品を発表しつづけている”AMAZING”な映画作家である。

前作『ゴーストライター』はロケ地を活かし暗鬱な映像美を駆使した上質のミステリーだったが、
本作はセット撮影による登場人物たった4人という、舞台劇の映画化。

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ブルックリン・ブリッジ・パークの長閑な風景が映し出されるが、
あれあれ、子供たちのなかで争いが起きる。タイトル・バックの間での簡潔な喧嘩。
シーンは一転、洒落たアパートメントの一室で、いよいよ2組の夫婦(子らの親たち)による、
『おとなのけんか』と相成るわけである。

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戯曲の原作者であり、脚色も担当したヤスミナ・レザの腕が冴えるが、
映画の生命は、当然たった4人の役者にかかってくる。
妻たちにジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレットという2大女優、
夫のほうは達者なバイ・プレイヤーであるジョン・C・ライリー、クリストフ・ヴァルツ。
ウディ・アレン作品からユーモアを少し引いて毒を足したような、こんな映画をポランスキーが作るなんて、新鮮な驚き。

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日本でも上演されたこの戯曲『大人はかく戦えり』(GOD OF CARNAGE)、
舞台劇なら盛り上がること請け合いの題材、さて映画にする意味は?
A・ヒッチコック作品『ロープ』さながら、タイムが同時進行の映画を作りたかったのか?
窓外の空の色が美しく暮れてゆくのは臨場感となり、お見事。
ともあれ「舞台劇ではどう処理したの?」と思わず蒼ざめるぶっ飛びシーンを含む79分、ぜひ同席してみて欲しい。

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